防災の日から始める!家族の健康を守る「ローリングストック」と「食の防災術」
2026年08月28日(金)New
近年、地震だけでなく台風や集中豪雨など、
想定を超える自然災害が全国各地で
多発しています。
特に8月~9月は台風の接近が多く、
猛暑が続く中で停電や断水が発生すると、
熱中症や体調不良のリスクが
一気に高まります。
万が一の備えの大切さは分かっていても、
•「わざわざ特別な非常食を買うのは面倒…」
•「セットで買ったけれど、気づいたら賞味期限が切れて捨ててしまった」
そんな経験はありませんか?
9月1日の「防災の日」をきっかけに、普段の暮らしを少し工夫して無理なく
続けられる「食の備え(ローリングストック)」について、
管理栄養士の視点からご紹介します。
1. なぜ今、家庭での「食料備蓄」が必要なの?
過去の大きな災害では、電気・ガス・水道などの
ライフラインが復旧するまでに
1週間以上かかったケースが多く見られます。
また、支援物資が手元に届くまで3日以上かかったり、
近くのスーパーやコンビニの棚からあっという間に
商品が消えてしまったりすることも珍しくありません。
そのため農林水産省では、最低3日分〜1週間分(×人数分)の食品を家庭に
備蓄することを推奨しています。
災害時という非日常的な環境だからこそ、
普段に近い温かく栄養バランスの整った食事をとることが、
心と体の健康を保ち、乗り越えるための大きな力になります。
2. 備蓄食品は大きく分けて2種類:ローリングストックのメリットと無理なく続ける3つのステップ
家庭での備蓄は、大きく分けて次の2つに分類されます。
1.非常食:
長期保存が可能で、主に災害時に食べるもの(アルファ化米、長期保存パン、缶詰など)
2.日常食品(ローリングストック):
普段の生活で食べながら、災害時にも活用するもの
すべてを特別な「非常食」で揃える必要はありません。
おすすめは、いつもの買い物で実践できる「ローリングストック」です。
ローリングストックとは、普段から少し多めに食品を買い、
日常生活で消費しながら、食べた分を買い足していく備蓄方法です。
以下の3ステップを意識するだけで、誰でも今日から簡単に始められます。
Step 1 :
備える(買う) 普段食べている缶詰、レトルト食品、乾物などを
「少し多め(+1〜2個)」に買う。
Step 2 :
食べる(消費する) 賞味期限が近いものから普段の食事に取り入れ、
「ふだんの食卓」で消費する。
Step 3 :
買い足す(補充する) 食べた分だけ買い足して補充し、
常に一定量の食料が家にある状態をキープする。
普段から食べ慣れている味だからこそ、
災害時でも安心して美味しく食べられるメリットがあります。
また、定期的に回転させることで「うっかり賞味期限切れ」を
防ぎ、食品ロスの削減にもつながります。
3. 管理栄養士が選ぶ!栄養別・おすすめ備蓄食品リスト
災害直後はライフラインが止まることを想定し、
まずは「開けてすぐにそのまま食べられるもの」を中心に
揃えましょう。
管理栄養士がおすすめする、栄養バランスを意識した
備蓄食材リストです。
| 分類 | 備蓄しておきたい食品の例 | 期待できる栄養・体調管理の効果 | |
| 主食 (炭水化物) |
レトルトご飯、パック麺、乾麺、シリアル、オートミール、クラッカー、缶入りパン | エネルギー確保・活動源 脳や身体を動かす基本的なエネルギー源になります。 |
|
| 主菜 (たんぱく質) |
魚の缶詰(サバ缶・ツナ缶・いわし缶)、肉の缶詰(焼き鳥・牛肉大和煮)、豆の缶詰、充填豆腐、レトルトのおかず(牛丼の素・ハンバーグ) | 筋肉・体力・免疫の維持 不足すると体力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなります。 |
|
| 副菜 (ビタミン・ミネラル・食物繊維) |
インスタント味噌汁、即席スープ、乾物(カットわかめ・海苔・切り干し大根)、野菜ジュース、フルーツ缶詰、ドライフルーツ、ナッツ類、長持ちする野菜(玉ねぎ・じゃがいも) | 体調不良・便秘の予防 不足しやすいビタミンやミネラルを補い、便秘、口内炎、肌荒れ、強い疲労感を予防します。 |
|
| 嗜好品 調味料 |
菓子類(ようかん・ビスケット・チョコレート)、ふりかけ、はちみつ、基本調味料(塩・しょうゆ・みそ・ポン酢) | 心のケア・味のバリエーション 甘いものや食べ慣れた味付けは、不安やストレスを和らげる「心の栄養」になります。 |
|
| 水分 | 飲料水、お茶、スポーツドリンク | 水分補給・脱水予防 |
災害直後は、手軽に食べられるおにぎり、パン、カップ麺などが中心になり、
どうしても「炭水化物(糖質)」に偏りがちです。
その結果、「たんぱく質」や「ビタミン・ミネラル・食物繊維」が致命的に不足してしまいます。
•たんぱく質不足 ➔ 体力や免疫力の低下、筋力減退
•ビタミン・ミネラル不足 ➔ 強い疲労感、口内炎、肌荒れ、便秘などのマイナートラブル
備蓄食を選ぶときは、「長持ちするか」だけでなく、
「主食・主菜・副菜のバランスが整えられるか」という視点を持つことが、
避難生活で健康を守る大きなポイントです。
4. 水分補給&暑さ対策も忘れずに!
飲料水の備蓄目安は、1人1日「3リットル」(3日分で9リットル、1週間分で21リットル)です。
※この3リットルには、飲み水(約1.5〜2L)に加えて、
レトルトの温めやアルファ化米の調理に必要な水(約1L)が含まれています。
手洗いやトイレなどの「生活用水」は、ポリタンクや風呂桶の汲み置きで別途確保しておきましょう。
特に8月〜9月の残暑が厳しい時期に停電・断水が重なると、
熱中症や脱水症状のリスクが非常に高くなります。
水分だけでなく、塩分補給ができる「塩あめ」や
「スポーツドリンク(粉末タイプも便利)」を
必ず備えておきましょう。
5. ライフラインが止まっても「食べられる」工夫を!
せっかく食料があっても、電気やガス、水道が使えなければ
調理できないことがあります。備蓄食品を選ぶときは、次の3条件をチェックしましょう。

1.常温で長期保存できるもの
2.加熱・調理なしでそのまま食べられるもの
3.少ない水(または水なし)で準備できるもの
< プラスワンの防災アイデア>
•カセットコンロ&カセットボンベ 温かいスープやご飯が食べられるだけで、
身体が温まり精神的な安心感が格段に高まります。
(目安:1人1週間あたりカセットボンベ約6本)
•ラップ・アルミホイル・食品用ポリ袋 お皿にラップを敷いて使えば洗う必要がなく、
貴重な水を節約できます。
6. 家族のからだに合わせた「我が家だけの備蓄食」
必要な備蓄は、ご家族の年齢や健康状態によって大きく異なります。
•乳幼児がいるご家庭:粉ミルク・液体ミルク、離乳食、おやつ
•高齢者がいるご家庭:やわらかいレトルト食、おかゆ、とろみ調整剤
•持病やアレルギーがある方:アレルギー対応食品、常用薬(数日〜1週間分の予備)
ご家族の「いつもの食卓」や健康状態を思い浮かべながら、
我が家に必要なものを一度リストアップしてみるのがおすすめです。
まとめ:いつもの「食べる」を、もしもの時の「生きる」へ
防災の備えとは、「特別な非常食セットを買うこと」だけではありません。
今週末のお買い物で、普段食べているお気に入りの缶詰やレトルトカレーを「あと2個多く買い足してみる」。
それだけで、家族の健康を守る立派な防災の第一歩になります。
ぜひ「防災の日」を機に、ご家族の笑顔と健康を守る「我が家ならではのローリングストック」を始めてみませんか?
MEDIVA 管理栄養士
◎参考文献
•災害時に備えた食品ストックガイド(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/guidebook-3.pdf
•食品ロスにしない備蓄のすすめ(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/pdf/efforts_190305_0002.pdf
•今日からできる備蓄食品。ローリングストックの始め方(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/article/202103/entry-10236.html
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