MEDIVA健康コラム

どのように対応しますか?ショッキングな報道が原因の不調者対応

2022年07月28日(木)

近年、戦争や著名人の訃報、元首相銃撃事件など、社会的にインパクトのある
”ショッキングな出来事”について、毎日のように報道されています。


そういった報道は私たちのメンタルヘルスに影響すると言われています。
保健師や人事担当の方など、普段から社員の健康管理に関わっている方は、
こうした出来事の後、メンタルが不安定になった方から相談を
受けることもあるのではないでしょうか。

今回は、ショッキングな報道に触れて不調になった方への対応のポイントについてお伝えします。

心と身体に表れる反応と専門家に相談する目安

すぐに出てくる反応

・不安
・気持ちの落ち着かなさ
・憂鬱
・睡眠への影響:寝つきの悪さ、浅い眠りなど

これらは一般的にストレス反応として起こりやすいものでもあります。反応が強く出て、日常生活に支障が出ていることが専門家に相談する目安になります。


例えば、こんな場合です。

・不安やそわそわした気持ちで眠れない日が4日以続く
・気持ちが落ち着かず、仕事や家事が手につかない
・イライラして、人や物に当たってしまう
・このような反応が、どれか1つでも4週間以上継続している
・もともと精神的な不調がある、トラウマ体験がある方で、事件をきっかけに状態が悪化した

 

対処法のポイント

では、このような心身の不調に対しては、どのような対処や予防ができるのでしょうか。ポイントを確認しましょう。

●メディア/SNSから離れる

メディアはショッキングな内容を繰り返し報道する傾向があります。
SNSでは加工しない状態での画像や動画が流れ、
より直接的で攻撃的な表現に触れる機会が多くなってしまいます。

ショッキングな報道に接した量と心理的な反応は比例しますし、
繰り返し触れることでもストレス反応は大きくなっていきます。

一方で、そういったショッキングな内容に触れる時間が増えることで、
不快な情報に対する感覚が麻痺して何も感じなくなる、
つまり、感情が動かなくなることもあります(感情鈍麻)。

いずれにせよ、情報に触れ続けることで良い影響はありません。
特集を見て回ることや、関連する動画やニュースを次々と見ることはやめましょう。

●信頼できる人と話す

ショッキングな出来事に対して抱えている思いは、信頼できる人に話すことがおススメです。

辛い気持ちを話すことができなくても、いつもの雑談ができることや、
嬉しかったことや楽しかったことなど生活の中に幸せがあったことを共有することも、
とても大切です。

自分の気持ちや思いをSNSでつぶやくことは、情報に触れる機会を増やすことにつながります。
他者からの反応でより傷つくことにもつながりますので、避けた方が良いでしょう。

不調を感じているようなときには、個人的な連絡のやり取りや、
対面での会話など、安心できる状況で話すことが大切です。

そして、信頼できる相談先の一つとして、
産業保健職や人事担当の方が活躍するのではないでしょうか。

不調を抱えた方との面談のポイント

1.まずは話をよく聞く

ショッキングな報道に触れて心身の不調を感じることは当たり前のこと、
と言語化することで、相談者の抱えた思いに寄り添いましょう。

2. 情報との距離の取り方や気分転換のアドバイス

その出来事に関する情報は1日に1~2つのニュースや記事で十分把握できるので、
その後は情報から離れることを決断できると良いでしょう。
情報収集のために使ってしまう時間があることを面談の中で確認することも、
相談者の気付きにつながる大切な支援です。
その時間にできる情報から離れるための具体的な行動を相談者と一緒に検討しましょう。
テレビを消す、スマホやタブレットを触らない、本や漫画を読む、絵を描くなど、
情報収集以外のことに集中する時間を作ることは、気分転換にもなります。
信頼できる人と、たわいもないおしゃべりをすることも、気分転換として有効です。

3.いつもの日常生活を送ること

「いつもの日常」を送るために、いつもの日常を面談の中で確認して
みるということもいいでしょう。
何時に起きて、次は何をして、というスケジュールを確認するだけでも、
今日やることが明確化され、目の前のことに集中することができます。

4.日々の中に小さな幸せがあることの確認

例えば、新発売のコンビにスイーツがおいしかった、
今日も柔らかい布団で眠れて幸せ、食事をおいしく味わえることに感謝+感謝できる自分が素敵!
など、日々の生活の中にある幸せを、面談の中で一緒に見つけることも有効です。
Three good things(その日あった良いこと3つ)を、夜寝る前に書き出すことも、有効ですよ。

5.気持ちの波はあって当然、いつでも相談してね、の声かけ

皆さんが日ごろから行っていることかと思います。
不調の中でも比較的調子が良い日や沈みこんでしまう日など、
波があることは当たり前のことです。
辛くなった時に気持ちを吐き出す場があることを伝えることが、相談者の安心につながります。

6.辛い気持ちを医療機関で相談しても良いことを伝える

日常生活や仕事に影響するほどの症状がある場合には、
医療につなげた方が良い可能性があります。その場で受診を決められなくても、
医療機関で相談するという選択肢を相談者に知ってもらうことも大切なことです。
相談者の状況に合わせて、専門家に相談する目安を参考にしながら
必要な場合には受診勧奨を行いましょう。

ショッキングな情報をきっかけに不調を抱えた方から相談を受ける立場の方にとっても、
自分の身を守ることはとても大切なことです。

不調者からの相談に対応できるよう、また、自分の身を守るためにも、
予防法や対処法を知り、まずは自分でも実践してみましょう。