MEDIVA健康コラム

野菜ジュースの上手な活用方法

2017年02月27日(月)

健康意識が高まっている昨今、野菜と健康に関する情報をよく耳にするようになりました。
スーパーやコンビニでも野菜ジュース売場が充実しているところも多く見受けられます。
日々の食事の中で、野菜不足を少しでも解消しようと野菜ジュースを利用されている方も
たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
野菜に含まれている栄養成分をジュースでとることにはメリットとデメリットがあります。

今回はその両方を知っていただいて、上手に活用するコツをご紹介いたします。

 

<野菜ジュースのメリット>

1. 楽に野菜が摂れる

野菜は食べた方がよくても、かさがあって一度にたくさんは食べにくいものですが、ジ
ュースにすると楽にとることができます。
例えば、生のトマトを3個食べるのは大変ですが、トマトジュースはコップ1杯で生のト
マト約3個分に相当します。

特に自宅やジューススタンドなどで飲む直前にミキサーで作ったものは、新鮮な素材を
まるごと使い、すぐに飲むため損失する成分が少なく、香料や酸味料などが使われていな
いためおすすめです。

2.種類が豊富でいつでも飲める

市販されている野菜ジュースは、商品名が同じであれば味が一定していて、紙パックや
缶、ペットボトルに入っているため保存ができ、味も飲みやすくして売られています。水
分補給と同時に手に入りにくい野菜や果物の味も一度に楽しむことができます。

3.手軽に健康効果を得られる

野菜がなかなか摂れない時や二日酔いなど食欲のない日の朝、災害時のような非常事態
の時には貴重な栄養補給のひとつになります。
また、胃腸の病気などで食物繊維を多くとることが困難な時や、歯の具合が悪く噛むこ
とが負担になる方も、ジュースという液体でなら負担をかけずに野菜を摂ることができま
す。

トマトジュース用のトマトは、生で食べるトマトとは品種が違って赤い色が濃いためリ
コピンという細胞や血管など体の内側を守る働きのある成分が多く含まれています。

野菜ジュースには、トマトや人参、ほうれん草などの色の濃い野菜が多く使用されます
が、これらの野菜にはビタミンAが豊富に含まれています。

ビタミンAは、目の健康維持や、粘膜や肌の新陳代謝を促して老化を防ぎ、肌を若返ら
せる働きなどがあります。
また、免疫力を高めてウィルスと戦う力を強めてくれるなど、この時期にはとても嬉し
い効果もあります。
最近では、野菜ジュースを食事の30分前に摂ることで食後の血糖値の上昇を緩やかにし
てくれるという報告もあります。

 

<野菜ジュースのデメリット>

1.栄養素の損失

市販の野菜ジュースは、工場で濃縮、加熱など加工の段階で、野菜に含まれているビタミ
ンCや食物繊維などの栄養素が失われています。
不足しがちな栄養素の中でもビタミンCは紫外線やストレスから体を守ってくれたり、疲
労回復や風邪の予防にも効果があります。
また、食物繊維は余分なコレステロールを排出したり、腸の働きを活発にしてお通じを良
くしてくれるなど、健康維持のためには大切な栄養成分です。

ですから市販の野菜ジュースが『1日分』と書かれていてもそれだけで十分な栄養素が摂
れるということではないのです。

2.添加物

全く使われていないものもありますが、加工途中で濃縮したものを水と混ぜる時に、香り
や味を一定させるために添加物(香料・酸味料など)が使われているものもあります。

3.噛まない

飲み物なので形ある野菜と比べて噛む必要がないため、噛むことによる健康効果(唾液に
よるガン予防、脳の活性化など)が得られず、満腹感が得られにくくなります。

このような野菜ジュースを毎日の生活の中でうまく活用するためのポイントは下記になり
ます。

 

【表示を確認】

市販品は便利ですが、パッケージの表示をよく確認して購入しましょう。
最近では加工の際にビタミンや食物繊維も後から添加されているものもありますので目的
に合わせて選ぶことが大切です。

原材料名は、多く入っているものから順に記載してあります。
野菜の栄養を摂る目的でも果物の名前が先にあるときは、果物の割合が多くなるので同じ
1パックでも糖分が増えカロリーが高くなります。

特に注意してほしいものは、『砂糖』、『果糖ブドウ糖液糖』の表示です。
これらは、飲みやすくするために一般のジュースには多く使われていますが、肥満や生活
習慣病の原因になることがあります。

血圧が高めの方や医師から減塩の指導を受けている方は、『塩』が添加されていないかど
うかを確認することも大切です。

 

【料理に活用】

例えば、トマトジュースや人参ジュースにご飯を入れるとトマトおじや、人参リゾットに
できます。

特に今の時期、冷たい野菜ジュースも、電子レンジで温めたり、スープにすると飲みやす
くなります。

肉、魚介類を加えて煮込むと料理のバリエーションも増やすことができます。
また、寒天やゼラチンでゼリーにすれば、幼児や高齢者も野菜の栄養をおやつで摂取する
ことができます。

このように、野菜ジュースには様々な種類があり多くの活用法があります。

いずれにしても、栄養素をそのまま摂りたいときは、自宅のミキサーで作ると一番安心で
す。
市販品の場合は、1日に必要な野菜のあくまでも補助的、あるいは非常食的手段として位
置づけ、野菜ジュースだけで十分と考えず、可能であれば噛んで食べる野菜のメニューを
多く選ぶことが大切です。

健康的な食生活の基本は、様々な食品をバランスよく噛んで食べて、必要な栄養素を摂取
することです。
日頃野菜不足になりがちな方は、野菜ジュースのメリットデメリットを知った上で、上手
に活用してみてはいかがでしょうか。

(管理栄養士 澤田 真由子)