MEDIVA健康コラム

早食いになりにくい食べ方

2015年04月27日(月)

4月に入り、新学期、新社会人、新生活など新たなスタートをきった方は多い
のではないでしょうか。

慣れない生活で何かと忙しいこの季節、食事の時間をゆっくり作れず、
ついつい早食いになってしまうことはありませんか。

早食いは良くないと聞きますが、それはなぜでしょうか。

その理由は3つあります。

理由の1つ目は、胃腸に負担がかかり、必要な栄養を吸収して不要なものを排出する
という正しい働きができにくくなるということです。

食べ物はよく噛むことで、胃や腸でもスムーズに消化されます。
よく噛まずに食事をすると、消化不良になった結果、必要な栄養は吸収されないまま
下痢や軟便になりやすくなってしまいます。

2つ目は太りやすくなるということです。
食事をして噛む事により、満腹中枢が刺激され、お腹がいっぱいと感じます。
この満腹中枢は働くまで20分以上かかると言われています。

早食いをして満腹感を得る前に食事が終わってしまうと、一回の食事で摂取する食べ物
の総量が増えやすくなり、肥満につながります。

さらに、一般的には早食いによって血糖が急上昇することで膵臓に負担がかかり糖尿病
発症のリスクを高めるとも言われています。
また、血糖が急に上がると、イライラや不安感が強くなったり、ぼーっとしてしまったり、
急激な眠気を催したりといった状態が表れ、さらに、食後すぐ横になってしまうことに
よっても肥満にもつながりやすくなると言われています。

3つ目は、虫歯になりやすくなるということです。
噛む事により唾液が分泌されますが、この唾液には抗菌作用や自浄作用などがあり、
健康を守る重要な働きがあります。

早食いにより唾液の分泌が少なくなると口臭が強くなりますし、虫歯や歯周病、
口内炎などの病気にかかりやすくなると言われています。

このように早食いになることによって、
体の様々な部分に不調が出てくる可能性があると考えられます。

では、早食いにならないためにはどうしたら良いのでしょうか。

<よく噛んで食べる為の工夫>

1.スプーンよりお箸を

フォークやスプーンを使って食べると、食べ物を口に運びやすくなってしまうため、
箸を使うよりも早食いになってしまいがちです。
フォークやスプーンに慣れてしまっている人は、見直してみましょう。

また、スプーンを使う場合はなるべく小さめのスプーンを使うことで1回に口に運ぶ
食事の量を少なくする事ができますので早食いを予防する効果が期待できます。

2.途中で箸を置く
 
口に食べ物が入っている間は箸置きなどを使って、箸を置くこと。
そうする事で噛む回数を増やすことができます。
噛む回数の目安として厚生労働省の検討会では、一口30回噛む習慣を奨める
「噛ミング30(カミングサンマル)」運動を提唱しています。
一口食べては箸を置いて30回噛む習慣をつけましょう。

3.食材を大きめにきる

一口大に切ってしまうと、口に運びやすくなり早食いになりがちです。
あえて大きめに切ることで食べにくくなるので、噛む回数も増え、
食事時間を延ばすことができます。

例えば、きんぴらごうぼうは細い千切りにせず、長さ4~5㎝幅1㎝くらいの長方形に
切ります。(短冊切り)

肉じゃがや筑前煮なども一口より大きめに切ることがおすすめです。

こんにゃくやしいたけなどの噛まないと飲み込めない食材を選んで加えたり、
魚もなるべく骨がある状態で食卓にのせ、骨を取りながら食べるようにする方が良いですね。
お刺身よりも焼き魚、煮魚の方が噛む回数や食べる時間が増えるのでおすすめです。

4.定食スタイルのメニューを選ぶようにする

丼ものや麺類は一気に口に運びやすいので早食いになりがちです。
また、外食での丼ものや麺類はよく噛んで食べる野菜が少ないことが特徴です。
食物繊維を多く含む野菜、きのこ、海藻類を食事の時、
最初に食べることで血糖値の急上昇を防ぐ働きもあるので、
なるべく定食スタイルのメニューを選び、野菜も摂るように心がけましょう。

5.飲み物で流し込まない

水やお茶を食卓に置いておくと、ついつい習慣で流し込んでしまいます。
よく噛むためには水やお茶は、食前または食後に飲むようにして、
しっかり噛んで唾液で飲み込むようにしましょう。

昨今では、噛むことで大脳に刺激を与えることが出来るという効果と、
唾液に含まれるたんぱく質や酵素が脳の神経細胞に良い影響を与えるという効果から、
認知症の予防にもなるのではと言われています。

みなさんも今一度「噛む」を意識して、
それぞれの料理の味付けや材料の違いをゆっくりと楽しんでみてはいかがですか。

                            (管理栄養士 青木智沙紀)