MEDIVA健康コラム

日本の食卓に欠かせない大豆

2024年02月05日(月)

2月3日は節分でしたね。恵方巻を食べたり豆まきを楽しまれた方も多いと思います。
実は節分として知られている2月3日は、
「大豆の日」として制定されていることをご存知でしょうか?
大豆をまいて邪気を払い、年齢の数だけ大豆を食べることで無病息災を願う
「節分」の習慣にちなんで2月3日に制定されたそうです。

また世界では、国連食糧農業機関(FAO)が2016年を「国際豆年」と定め、
国連総会では2月10日を「世界豆の日」に制定し、
豆類の優れた栄養による健康効果、持続可能な食料システムと飢餓のない世界に貢献する
豆についての認識を高めることを
目指しているとのことです。

今回は、日本人の食生活を支え、世界でも注目を集めている豆類のひとつ
「大豆」についてご紹介します。

大豆の歴史

大豆は、紀元前2000年以前から中国で栽培され、
その後、朝鮮半島や日本を含む東南アジアに伝わったと言われています。
日本で大豆の栽培が広く普及したのは鎌倉時代。
その頃伝来した仏教の「殺生をしない」という教えが広まるとともに、
大豆は肉や魚の代わりとなる貴重なたんぱく源として重宝されたそうです。

大豆の主な栄養と効能

大豆には、私たちのからだに必要な5大栄養素
(たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)がすべて含まれており、
「天然のサプリメント」とも呼ばれるほど栄養価が高く、
健康においても様々な効果が期待できます。

たんぱく質

大豆は「畑の肉」「豆の王様」といわれるように、
豆類の中でも一番のたんぱく質含有量を誇ります。
さらにたんぱく質の栄養価判定の基準値であるアミノ酸スコアは、肉や魚、
卵と同じ最大値の100であり、良質なたんぱく質が含まれていることが分かります。

脂質(不飽和脂肪酸)

大豆の脂質は飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多く含まれています。
「飽和脂肪酸」はとりすぎると悪玉コレステロールが増加し、
動脈硬化の原因になりやすい一方で、「不飽和脂肪酸」は血中の
コレステロールや血圧を下げる働きがあります。そのため、
大豆を摂ることは動脈硬化や高血圧のリスクの低減につながると言われています。

食物繊維

一般的にはあまり知られていませんが、実は大豆には食物繊維が多く含まれています!
例えば、可食部100gあたりの食物繊維総量で比較すると、
食物繊維含有量がトップクラスのごぼうは6.1gであるのに対し、
ゆで大豆は6.6gであることから、その豊富さがよく分かります。
食物繊維は、腸内環境を整え便通を良くする整腸効果だけでなく、
血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の
低下など様々な効果があります。

イソフラボン

イソフラボンには、女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きがあることから、
更年期症状を緩和したり骨密度を維持して
骨粗鬆症を防いだり、血中LDLコレステロールを低下させる効果があります。
また、大豆には高い抗酸化力があり、がん予防にも効果が期待されています。

低GI食品

大豆は食物繊維やタンパク質を豊富に含むことから、代表的な低GI食品であり、
ゆっくりと消化されるため血糖値が上がりにくいというメリットがあります。
GI(グリセミック指数)は、食品が血糖値を上昇させる速さを示す指標です。
GI値が低い食品ほど食後血糖値はおだやかに上昇します。
そのため、肥満や糖尿病の予防や改善において、
低GI食品を摂ることが有用だと考えられています。

古くから親しまれてきた大豆製品

【大豆からできる食べ物の例】


参考文献:大豆のまめ知識:農林水産省 (maff.go.jp)

大豆は、世界的に見ると主に油の原料としての使用がほとんどですが、
日本においては古くから、豆腐、納豆、醤油、
味噌をはじめとする様々な加工食品に姿を変えて愛されてきました。
そんな日本の和食文化を支えてきた大豆製品は、
私たちの身近に沢山溢れています。
また、近年は大豆製品の多様性が広がり、大豆ベースの代替肉製品である
「大豆ミート」や、「ヨーグルト」、「アイスクリーム」
なども増えてきており、植物性食品の選択肢が広がってきています。
環境への影響が少なく、健康志向の人にも受け入れられ、
日本のみならず世界的にも注目が高まってきています。

大豆製品の摂取目標量

古くから親しまれている様々な栄養や効能がある大豆製品ですが、
摂取目標があることをご存じでしょうか?
厚生労働省が推進する「健康日本21 」(21世紀における国民健康づくり運動)によると、
大豆を含む「豆類」は、牛乳・乳製品、緑黄色野菜と並ぶカルシウムに富む食品として、
1日100g(大豆製品では50~100g)が健康な成人の摂取目標として紹介されています。
しかしながら、日本人の平均摂取量は1日約60gにとどまり、
少ない傾向にあるため、他の食品と合わせて上手にバランスよく取り入れられると良いですね。

【大豆製品を使った様々な料理】

・納豆
・冷ややっこ
・煮豆
・厚揚げ
・高野豆腐の煮物

私たち日本人の食卓に欠かせない大豆は、あまりに身近な食材であるため、
普段はなかなか意識することがありませんが、
今一度栄養や効能、大豆製品の加工工程について振り返ると、
新しい気づきがあるかもしれません。
スーパーでも様々な大豆製品が並んでいるので、皆さんも是非探してみてください♪

株式会社メディヴァ 管理栄養士

【引用・参考文献】

●厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html

●農林水産省「大豆のホームページ」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/index.html

●保健指導リソースガイド
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2016/005069.php

●日本Glycemic Index 研究会
日本GI研究会 (gikenkyukai.com)

●JAICAF 公益社団法人 国際農林業協働協会
World Pulses Day:世界マメの日 | JAICAF 公益社団法人 国際農林業協働協会 (jaicaf.or.jp)