MEDIVA健康コラム

駆け出し産業保健師メディ子、ただいま成長中!~トータルヘルスプロモーション編~

2022年11月15日(火)

こんにちは、駆け出し産業保健師のメディ子です。

憧れていた産業保健師になってから半年が経ち、
「衛生講習会」や「健康通信」の作成に携わる機会がありました。
業務を通して会社が衛生講習会や健康通信の発信を求める理由に、
「トータルヘルスプロモーション」という言葉がキーワードになっていることを知ったので、
私の学びをまとめていきたいと思います。
同じく駆け出し保健師で奮闘している方や、
これから産業保健師になりたい!と思っている方へ参考になれば嬉しいです。

健康経営について

私は、健康経営アドバイザーという資格を取得しました。(e-learning研修)
産業保健師の仕事を調べる中で、大手企業が健康経営優良法人(ホワイト500)を
取得していることや、社会的にも健康経営に対するニーズが高まっていることを知り、
「個人に対するアプローチだけではなく、
会社全体の姿勢が変わらなければ従業員の健康はよりよく守られないのではないだろうかと」と
思ったことが勉強のきっかけでした。

健康経営とは

従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法です。
従業員等の健康増進等にかかる支出をコストではなく、
「健康投資」としてとらえることが重要です。

勉強をしていた時には、
会社にとって健康投資に対する産業保健の必要性が高まっていると感じました。

トータルヘルスプロモーションを生かした健康経営

健康管理室で働く中で、人事担当者から健康通信の作成依頼や衛生講習会など、
健康の保持増進に携わる依頼を受けることが度々ありました。そうした時に、
「やはり会社の健康経営のニーズは高い」と捉えていましたが、
先輩から「会社からのこうした依頼は、要するにトータルヘルスプロモーションの取り組みだよ」
と教わり、会社のニーズをより深く理解することができました。

トータルヘルスプロモーションの3つのポイント

① 国は「事業場における労働者の健康保持増進のための指針(THP指針)を策定し、
心身両面にわたる健康保持増進対策」を推進している
② ①の中に、「ポピュレーションアプローチ」、
「健康増進無関心層への取組みや事業場の風土醸成」、
「労働者の高齢化を見据えた運動の習慣等」という考え方が盛り込まれている
③ THP指針は、事業場の特性に合った内容を検討し、PDCAのサイクルの各段階で、
事業場が取り組むべき項目を明確にする
(参考:令和4年安全衛生のしおり)

この3つのポイントから、まずは、「トータルヘルスプロモーション」という、
会社単位での労働者に対する健康の保持増進のプロセスに落とし込んで考える必要が
あることを理解しました。
そして、そういった従業員に対して、積み重ねた健康投資から、
会社全体の健康経営につながっていくことに気づきました。

駆け出し保健師メディ子の学び

「トータルヘルスプロモーション」の仕組みと日々の実践から、3つの学びを得ました。

①ニーズを把握すること

労働安全衛生法第69条において、
「労働者の健康保持増進を図るために必要な措置を継続的かつ計画的に実施することが
事業者の努力義務」として定められており、トータルヘルスプロモーションの実施は、
事業者にとって重要な責務であるといえます。
だからこそ、衛生講習会や健康通信を個々の点で取り組むのではなく、
会社が期待するもの(ニーズ)を把握し、そこに応えられるスキルが必要であると学びました。
しかし、保健師に任せられている業務の範囲は会社によって違うため、
会社の方針や従業員の働き方に関する課題のすべてを保健師が把握することは
難しいとも感じています。
ニーズを把握するためには、限られた情報の中だけで判断するのではなく、
時間をかけながらも広い視野でのアセスメントが必要であると学びました。<

②五感を大切にすること

限られた情報の中からニーズを把握するために最も重要なことは、
五感を大切にすることだと考えています。出社をすることで、
会社の社風(雑談の様子、上司へ相談している様子など)を肌で感じることができます。
同じ空間で働く方の健康相談に応じるときに、職場の空気に共感できるからこそ、
相談者の傾聴に役立てられています。
また、オンライン上でも五感で感じることはできます。
メールの返信内容から従業員の方の気質を感じたうえで、相手に寄り添いながら、
メールでのコミュニケーションをとっています。
集団・組織の把握には、健診事後措置に対する返信率や健診結果の分析と、
日頃の従業員の様子や特徴を掛け合わせてデータと生の声を統合したアセスメントで
部署や事業場の特徴を把握することができます。
つまり、保健師でしか知ることしかできない情報を最大限に活用する必要があると考えました。

③専門職であることを常に心がけて行動する

私は、会社から求められることを否定せずに対応する姿勢を見せることが、
企業から求められていることではないと思います。
実践の中では、社員の方と実際に接して感じたことを大切にしながら、
人事の方の意向とすり合わせを行うなど、
どちらかに肩入れしすぎないバランス感覚を持つことの重要性を感じました。
専門職としての言葉で伝え、従業員の健康を第一に考えて発信できるか、
といった専門性を大切にしたいと思っています。そういった姿勢が、
会社から求められていることであり、
お互いのニーズが満たさせることが信頼関係につながると思っています。
「専門職として働きかける」という気持ちを忘れずに、
従業員の方や会社全体に寄り添える力を身に着けていきたいと考えています。

まとめ

衛生講習会の実施や健康通信の作成を通して、
まずは、会社から求められていること(ニーズ)を把握する力を身に着ける必要が
あることを知りました。
そして、そのニーズを自分だけで考察するのではなく、チームメンバーと共有したり、
担当者と連携することで、誰もが納得できる方向性でチームとして進めていくことが
できると思っています。
「トータルヘルスプロモーション」という仕組みの中で、現在どういった課題があり、
どのようにPDCAを回す必要があるのか会社の担当者と目線を合わせながら、
専門職として価値を発揮できるよう、駆け出し保健師メディ子、日々精進していきます!