MEDIVA健康コラム

しっかり噛んで肥満予防

2013年05月24日(金)

今年もまた梅雨入り宣言が気になる頃となりました。
普段から、体重を気にして外で体を動かすことを意識されている方は、梅雨空に左右されて運動不足になりやすいので、お食事面でも気を付けていきたいですね。
そこで今回は太りにくい食べ方についてご紹介します。

みなさんは食べ方が早いと言われたことはありますか?

食べる速さを体型別にみると、BMI25以上の肥満者は、肥満ではないBMI25未満の人に比べて、早食いの人の割合が多いことがわかりました。

※BMIとは身長からみた体重の割合を示す体格指数
※体重kg÷身長m÷身長mで計算

早食いと肥満には何らかの関係があるようです。
その原因を考えてみましょう。

肥満の原因は、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多くなること。
つまり、「私たちの体にとって必要な量よりも食べすぎること」によって起こります。

なぜお腹がいっぱいになるかというと、食事をすることによって脳にサインが送られ、食べ始めてから20~30分すると脳が満腹のサインを感じる、というしくみがあるからです。

早食いをすると、「脳が満腹を感じるまでに食べすぎてしまうこと」が考えられます。
ですから、食べすぎを抑えるためにもまずは早食いをやめ、よく噛んでゆっくり食べることが大切になってきます。

噛むことで交感神経が活性化され、 内臓脂肪の分解を促進する効果もあります。

また、よく噛むことで脳に刺激を与え、より多くの栄養(血流)を送ります。
脳が活性化され、爽快感が得られるのでストレスを解消し、ストレス食いも控えられることで肥満の予防にもつながります。

食べすぎを防ぐためにも、しっかり噛んで、30分くらい時間をかけて食事をしましょう。

噛むことのメリットには肥満予防の他に、唾液中に含まれる抗酸化作用の働きによる生活習慣病の予防効果や、食べ物が消化しやすくなることで内臓の働きを助ける効果があります。

このように、噛むことは体にとって多くの良い働きをしてくれます。

それでは、しっかり噛んで食べるための工夫をご紹介します。

 

(1)噛みごたえがある食材・調理法を選ぶ

・ご飯は、白米よりも玄米や雑穀米
・パンは、食パンやロールパンよりフランスパンやライ麦パン
・お肉は、ひき肉よりも厚みのあるお肉、
・煮物にするときは、大根やかぶ、じゃがいもや里芋などよりも
 ごぼう、れんこん、たけのこ

などのような噛みごたえがある食材を選ぶことで噛む回数が増えます。

調理法では、魚は切り身の刺身よりもさんまやあじ・ほっけの開きなどを焼き魚にすることで、骨をとりながら食べるので、ゆっくり時間をかけて食べることにつながります。

刺身ならイカやタコのような噛みごたえがあるものがおすすめです。

野菜は少しかためにゆでることでしっかり噛むための工夫にもなります。
さらに、野菜のゆで時間を短くすることで、加熱に弱いビタミン類の損失を抑えることもできます。

 

(2)野菜の切り方を工夫する

よく噛んで食べるための料理作りのポイントとしては、 野菜を大きめに切ることです。

みじん切りやせん切りのような細かい切り方をするよりはコロコロとした形、いつもより大きめ・長めに切ることが、よく噛まないと飲み込めないので、しっかり噛むための工夫のひとつになります。

サラダを例に挙げるとすると、 芋をつぶして口当たりがなめらかなポテトサラダよりも、シャキシャキとした歯ごたえのある生野菜サラダがおすすめです。

大きめに切ったきゅうりやレタス・トマト、長めに切った水菜やパプリカ・セロリ等、野菜の切り方を工夫することで、しっかり噛んで食べるための料理になり、野菜を切る手間も省けます。

 

(3)1品料理より定食スタイルにする

丼物やめん類などの1品料理やお茶漬け・卵ごはん・納豆ごはんなどはあまり噛まずに、飲みこむように食べてしまいます。

ごはんやめん類だけでなく、肉や魚を使ったおかずと野菜のおかずがある定食スタイルにすることで、自然とよく噛んで食べるようになるだけではなく、栄養のバランスも整います。

 

(4)食べながら水やお茶を飲むのは控えましょう
 
水分補給は大切ですが、食べ物が口に入っているうちに水やお茶などの水分を口に含むことはよく噛まずに流し込んでしまう原因になります。
食事の最中の水分摂取は控え、食事の食べ始めと食べ終わりにしましょう。
しっかり噛むことで唾液がたくさん出てくるので、水やお茶がなくても飲み込みやすくなります。

 

(5)飲みこんでから、次の食べ物を口に運ぶ
 
食べ物が口に入ったまま、次の食べ物を口に運ぶとよく噛めていないうちに飲みこんでしまうことになります。

きちんと飲みこんでから次の食べ物を口に入れることで時間がかかり、食べ過ぎる前に脳が満腹のサインを感じることができます。

そのための工夫のひとつとして、一口食べたら箸をおくように意識することをおすすめします。
そうすることで食事の味をしっかりと味わうことができます。
箸おきや割りばしの箸袋を折った箸おきの代用を利用するとより効果的です。

 

心や体を元気にして肥満予防にもなる『しっかり噛んで食べること』を意識し、ゆっくりとお食事を味わって、食事時間を楽しみませんか。

(管理栄養士 脇山 薫)