MEDIVA健康コラム

海外で注目!日本のお米

2022年10月25日(火)

いつの間にか田んぼでは稲の穂が垂れ下がり、甘くて美味しい新米が出回る時期となりました。 

日本では代表的な主食“ごはん”として馴染みのある「お米」ですが、
年々消費量が減少していることはどこかで聞いたことがあるかと思います。
いわゆる「米離れ」ですね。 

日本人1人当たりの米の年間消費量は1963年118㎏から2021年50.8㎏に、
なんと半分以下に減少しています。

これは食生活が多様化し様々なジャンルの食事を楽しめる時代になったこともありますが、
数年前から糖質制限による健康法が流行ったことから“ごはん”を控える方が
増えたことも影響していると考えられます。

しかしそんな米離れが進む日本と反対にアメリカやヨーロッパなど海外では
需要が高まっているようです。そんなお米の魅力をお伝えしていきます。 

◎お米(ごはん)のイメージ‥‥ 

皆さんはごはんに対してどのようなイメージを持っていますか? 

2018年11月に当コラム内(美味しいごはんで風邪予防)でも紹介していますが、 

・糖質が多い 

・太りやすい 

・炊けるまで時間がかかる 

などごはんにはダイエットの敵・手間がかかるというマイナスイメージがまだまだあるようです。 

しかし、最近では

・消化に時間がかかるので腹持ちが良い 

・脳のエネルギー源となり働きを活発にする。 

・塩分・脂質が少ない 

・食物アレルギーを起こしにくい 

など本来持っている様々な良さが広まり、イメージに変化が出てきました。 

◎海外で大人気の日本のお米 

2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど海外でも日本食に対する関心が高まってきています。海外では日本食レストランの数が過去10年間で5倍と急激に増加しており 、2014年では4,516tだった米の輸出は2021年には22,833tと毎年伸びています。

また、アメリカで小麦に含まれるグルテンによるアレルギーやセリアック病
グルテン過敏症などの患者数増加が問題になっており、
そのアレルギー対応の代替えとして米粉が活用されています。

他にもダイエット等の関心が高まり、グルテンフリー(グルテンを摂取しない)を取り入れることで
減量や体調・肌質がよくなったという報告が相次ぎ、体調改善目的でグルテンフリーの考え方が
ますます広がっています。

*セリアック病とは…グルテンを摂取すると自己免疫系の異常反応により、
小腸を攻撃し炎症を起こしてしまう病気。腹痛や下痢、倦怠感などの症状を引き起こし、
悪化すると消化・吸収不良により栄養不良になってしまう。

◎お米の魅力 

  • ①栄養成分 

成人男性1食分のご飯とパンの栄養成分を見てみると、なんといっても脂質が少ないことが分かります。また塩分が入っていないのも特徴で、他にも血や筋肉のもととなるたんぱく質やビタミン・ミネラルが多く含まれています。


♦ごはん220g(米100g炊きあがり)の栄養成分(*参照) 

炭水化物:77.1g 
たんぱく質:6.1g 
脂質:0.9g 
水分:15.5g 
食塩相当量:0.0g 
(*引用:農林水産省 )

♦食パン120g(6枚切り2枚)の栄養成分

炭水化物:56.0g 
たんぱく質:11.5g 
脂質:5.3g  
水分:45.6g 
食塩相当量:1.6g 

  • ②家計にやさしい 

昨今ではたくさんの商品が値上がりしていますが、
お米の価格は2019年9月以降下がり続けています。コロナの影響も大きく、
米離れによる消費量減少により今後も高騰する可能性は低いそうです。
腹持ちが良く満足感を与えてくれるので、
お米を積極的に利用することは家計を支える手段のひとつにもなりそうですね。 

  • ③食生活の体験を豊かにする 

おにぎりやお寿司などごはんそのものをアレンジできることはもちろん、炒め物や揚げ物、
煮物といった様々な料理に合います。
主食をごはんとしてあっさりしたものから脂っこい料理まで組み合わせることができるので、
栄養バランスを補うとともに食体験を豊かにしてくれます。
ごはんは子どもから大人まで一生を通して食卓の中心となるため、
多様なおかず選びの経験が食育にも繋がります。 

◎ごはんの食べ方~主菜・副菜選びとあわせて~ 

たくさんの魅力が詰まったごはんですが、
もちろんごはんだけでは不足してしまう栄養素が出てきてしまいます。
ごはんの1食分の目安は、おおよそ片手にのる量とし、主菜・副菜選びを楽しみましょう。
おいしく高品質な日本のお米の生産を減らしていくのは残念です。
日本のお米や和食文化の魅力を誇りに持ち、
日々の食事を楽しみながら健康を意識していきましょう。 

保健事業部 管理栄養士