MEDIVA健康コラム

『治療』と『仕事』の両立支援 ―“ちりょうさ”ご存じですか?―

2021年10月05日(火)

こんにちは。

メディヴァ産業保健チームです。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回のコラムは「治療と仕事の両立支援~“ちりょうさ”ご存じですか?~」です。
“ちりょうさ“は治療と仕事の両立支援のイメージキャラクターです。
ご覧になったことがあるかもしれません。

耳に、「ちりょう」「しごと」を掲げ、スーツや白衣をまとった“うさぎ”です。
目線は左斜め上で口元にスマイル。

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「治療と仕事の両立支援」
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  • 疾病を抱える労働者の状況

日本人のおよそ2人に1人が「がん」になっている(国立がん研修センター)
平成22年国民生活基礎調査に基づく推計によれば、
仕事を持ちながら「がん」で通院している者の数は32.5万人に上ります。

医学の進歩によって早期発見や早期治療ができるようになり、

それまで「不治の病」であった「がん」が「長く付き合う病気」に変化してきたことによります。

一方、労働者を取り巻く疾病は「がん」だけではありません。
メンタルヘルス、脳血管疾患、糖尿病、難病、肝疾患など多岐にわたります。

労働者は疾病や障害を抱えながら仕事をしますが、適切な治療を受けられない、
受けないといったことで離職に至ってしまう場合があります。

中でも、糖尿病患者の約8%は通院を中断しています。(H25 厚労省研究)
糖尿病合併症(網膜症、腎症、神経障害)へ進展することで、

視力障害や人工透析等の治療を必要とするため業務遂行能力悪化を招きます。
ひいては就業の継続や復職が難しくなります。

また、糖尿病のコントロールが悪いと、心筋梗塞や脳梗塞、
動脈硬化症の発症リスクが2-3倍に増加すると報告されています。

大切な人的資源である従業員を確保し、
労働人口が高齢化しながらも企業の生産性を維持、成長させていくためには
仕事と治療の両立を健康経営の一環として取り組んでいく必要がありそうですね。

  • 両立支援とは

厚労省は2016年に「事業場における治療と仕事の両立支援のガイドライン(※)」を示しました。
さらに、2019年から始まった働き方改革のひとつには
「病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の促進」があります。

以前から国も両立支援を推進しています。
皆様の事業所で両立支援を始めるにあたり何から始めたらよいのか、
窓口となる産業衛生スタッフがいない場合などは特にお困りになるでしょう。

そんな時は、拠点病院や地域産業保健センターや
アウトソーシングの両立支援コーディネーターを訪ねてみてはいかがでしょうか。

両立支援コーディネーターは労働者と病院、会社のアドバイザー的な役割をもち、
労働者(患者)と医療、職場の理解が深まるようにサポートすることが目的です。
労使の間に立ち、企業と職場復帰の交渉や代理行為をするものではありません。
あくまでも中心は労働者であり、会社ご担当の皆様です。

両立支援のプラン作成には本人や主治医との情報交換、
社内調整といったコミュニケーションが要ですが、
企業の労働時間や休暇制度、労働規約や就業規則の取り扱いといった
労務管理に関する知識が有用となり、企業によって程度や方法が異なります。
難解な労働関係法令を事業者の立場でどのように運用していくのか。
事業者がどこまで配慮を示すのか、安全配慮の拡大解釈を防ぐお手伝いを致します。
2018年 両立支援の取り組みをしている事業所は55.8%です。(厚労省実態調査)
国は同年の診療報酬改定で両立支援を支援する仕組みを導入しました。(療養・就労両立支援指導料)

これにより、企業の産業医だけでなく、
産業衛生スタッフに情報の連携がされた場合でも報酬が支払われるため、
労働者の現在の症状にあった働き方をより実現しやすくなりました。
両立支援は企業のグローバル化、ダイバーシティ推進の一環としても注目されています。

あなたの会社でも両立支援を充実してみませんか。
※治療と仕事の両立支援ナビ(厚生労働省HP)https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/about/index.html