MEDIVA健康コラム

残暑を乗り切るスパイス料理

2017年09月05日(火)

 今年の夏は雨雲が多く湿度の高い日が続いたことで、食生活が乱れた方も多いのでは
ないでしょうか。

蒸し暑いからと冷たくて口当たりの良いものを多く摂っていると、
疲れがなかなか取れにくくなることがあります。

だからと言って、元気を出そうと無理にこってりしたものを食べると、
疲れている胃では消化不良を起こしかねません。

こんな季節こそ、胃腸の負担を軽くする煮込み料理で体調を整え、
元気に残暑を乗り切りませんか?

「蒸し暑いのに煮込み料理を?」と思われるかも知れませんが、胃腸を温めると
血流が良くなり、消化力や免疫力が上がるといわれています。
クーラーで快適になった部屋で温かい料理を美味しく楽しみ、乱れた食生活で
不足した栄養を摂取していきましょう。

今回のテーマはスパイス料理です。
夏にカレーが好まれるように、香りは食欲を増進し、リラックス効果も期待
できますので、適度にスパイスを使った料理は残暑で お疲れの方にも
オススメです。

また煮込み料理はついつい塩分が多くなりますが、スパイスを使うと味にメリハリが
つくので減塩にもつながります。
スパイスといえばインドや東南アジアを思い浮かべる方が多いかも知れませんが、
東洋にも特徴的なスパイスがあります。

少し目先を変えて、中華料理や和食で使われるスパイスを使った煮込み料理を

2品ご紹介します。

  1. 八角(はっかく)を使って

 中華街に行くと異国情緒あふれる香りがしますね。
八角はトンポーローなどの豚の角煮に使われており、これぞ中華街と感じるあの香り
のもととなるスパイスです。
少しの清涼感と独特の甘い香りが特徴で、杏仁豆腐のシロップなどお菓子にも
使われることがあります。

台湾などでも召し上がったことのある方がいらっしゃるかも知れません。
八角は漢方薬としても使われ、お腹を温めて胃腸の働きをよくすると言われています。
今回ご紹介するのは、やはり胃腸の調子を整えると言われる白菜や疲労回復に
良い豚肉の入った、具沢山の煮込み料理です。

【豚肉と白菜の八角煮】
  材料:豚もも肉(薄切り)、白菜、えのき茸、しめじ、干し椎茸、緑豆春雨、
  ボイル帆立貝(小)、八角、昆布、塩、しょう油

<作り方>
1. 水を張った鍋に八角と昆布を入れて火にかけ、
2. 香りが十分移ったら八角と昆布を取り出します。
3. そこへ2㎝幅くらいに切った白菜、きのこ類、豚肉の順に煮ていき、
4. 塩、しょう油で味をととのえてから戻した春雨を入れ、2、3分煮ます。
5. 最後に帆立を加えて出来上がりです。

<アレンジ>
☆豚肉をえびやイカに変えても美味しくできます。

☆ウズラの卵やはんぺんを加えると、高齢者や小さいお子様にも
食べやすく手軽にたんぱく質を強化することができます。

☆にんじん・チンゲン菜を加えるといろどりが良くなる上に、
免疫を正常に保つ働きのあるカロチンもとれます。

☆春雨は糖質の多い食品ですので、血糖が気になる方は代わりに
糸こんにゃくを加えると、低カロリーになる上に血糖値の上昇を
緩やかにしてくれる食物繊維がとれます。

☆仕上げにすりおろしたニンニクや紹興酒を加えると、さらに美味しくなります。

  2. 山椒(さんしょう)を使って

  うなぎのかば焼きを買うと粉状の山椒が付いていますが、
なかなか使いきれずに残っていませんか?

 山椒は北海道から屋久島まで広く分布しており、古くは縄文時代の遺跡からも
出土するそうです。
当時の人たちも、土器を使った煮込み料理に山椒を使っていたのかもしれませんね。
古くから生薬としても使われ、冷えてしまった身体を芯から温めてくれる効能が
あるといいますから、うっかり冷房をかけ過ぎて冷えてしまった時などに最適です。
今回は煮込むと美味しい鶏の手羽先と山椒とを組み合わせた煮込み料理をご紹介します。

山椒の香味成分は油に溶けやすいため、最初に油と加熱していきます。

  【手羽先と玉ねぎのスープ煮】
    材料:手羽先、玉ねぎ、植物油、粉山椒、酒、しょう油

<作り方>
1. 鍋に入れた植物油少々に粉山椒を振り入れ、
2. 火にかけて香りが立ってきたら鶏肉を入れて焼きます。
3. 両面を焼き、少し焦げ目が付いたら厚めに切った玉ねぎを加え、
4. 水と酒少々を加えて中火にかけます。
5. 煮立ったら火を弱め20分ほど煮て、仕上げにしょう油と粉山椒を加えます。

<アレンジ>

☆脂(アブラ)が気になる方は手羽先に切れ目を入れ、
焼く際に出てきた脂をペーパータオルで拭き取ってください。

☆手羽先の代わりに鶏のささ身やむね肉、豆腐などを使って
さっぱり仕上げるのもおすすめです。
火加減や煮る時間を調節してください。

☆玉ねぎを小玉ねぎや長ねぎに代えても美味しくできます。
パプリカなどを加えると彩りが良くなり、栄養もプラスされます。

☆山椒は劣化が早いため、開封後は冷凍保存がおすすめです。

気温や湿度の変化が大きい時でも私たちの体温は一定に保たれているため、
食べる食品の温度の違いによって消化や栄養の吸収の度合いに差が出るそうです。
そのためには早食いせずによく噛んで食べることも大切ですが、気候が不安定な時こそ、
温かい料理をゆっくり味わって体調を整えてみませんか。

(管理栄養士 三田泰子)