MEDIVA健康コラム

健康食品と健康を考えた食事の摂り方

2013年06月26日(水)

近年、「体に脂肪がつきにくい」、「血糖値が気になる方に」、「カロリーオフ」
など健康を意識した食品(健康食品等)が数多く販売されています。

健康的な食事をしたいという思いからこのような商品を手にする方も多いのでは
 ないでしょうか。

今回は、健康食品と健康を考えた食事の摂り方についてご紹介します。

「健康食品」は大きく3つに分けられます。

1,特定保健用食品(トクホ)

製品ごとに有効性と安全性について審査を受け、国から許可を受けた食品です。

食品に含まれている成分が血圧やコレステロールを下げるなどの保健の効果を
表示することを許可されています。

2,栄養機能食品

表示できる栄養成分と量には、国が定めた基準があり、
その基準を満たして栄養成分の機能表示をしている食品です。
ビタミンやミネラルなどの含有量が多い旨を表示することができます。

3,その他の健康食品

「健康食品」「健康補助食品」「栄養強化食品」など様々な名前で流通している
制度化されていない食品です。

○健康食品と健康的な食事について

1,特定保健用食品

  「血圧、血糖値、コレステロールが気になる方へ」「脂肪の吸収を抑える」

などの表示があり健康や体型が気になり始めている方を対象にした健康食品です。
 健康や体型が気になり始めた方が、手軽に試せる食品かもしれません。

しかし、特定保健用食品を飲んだり食べたりしたからといって必ずしも全ての人
の血圧や血糖、コレステロールが改善したり、上手に痩せたりするわけでは
 ありません。

また、治療を目的としたものではないため薬のように利用すると病気の治療が
遅れて悪化するなどのリスクもありますので、
 治療が必要な方や病気をお持ちの方は注意が必要です。

上記のような特定保健用食品を利用しなくても、普段の食事に少し気を配るだけ
 でも健康的な食事を目指すことができます。

一番のおすすめは、今よりも野菜類(野菜、海藻、きのこ類)を増やすことです。

生活習慣病やがん予防のためには1日に350~400gの野菜が必要といわれています。
お浸しなどの小鉢だと1日分の約1/5、野菜炒め一皿分で約1/3の野菜が摂れます。

しかし、実際に私たちが食べている野菜類の量は平均で小鉢1.5皿分(約100g)
 不足しているといわれています。

野菜類にはビタミンをはじめ様々な栄養素が含まれており、
 体に良い働きをしています。

中でもカリウムは余分な塩分を体の外に出してくれる働きがあり血圧改善に効果
が期待できますし、食物繊維はコレステロールの排出を助ける働きがあります。

また野菜を先に食べることは、血糖値の急な上昇を防いだり、肥満の予防にも
効果的であるといわれています。
  
 今より野菜類を増やすといっても、
 準備するのが面倒という方もいるかもしれません。
 簡単に野菜を増やす方法として、これからの季節はトマト(中1個約150~200g)
やきゅうり(1本約100g)を丸かじりしてもみずみずしくて美味しいですし、
ネギだけしか入れていなかった味噌汁にカットワカメを加えたり、
 手でちぎったキャベツを加えることで簡単に増やすことができます。

このように野菜類が増えることでより満足感が得られ、
 様々な栄養もとることができます。

2,栄養機能食品

ビタミンやミネラルを多く含む食品です。

ビタミンやミネラルはエネルギー源になりませんが、
 体内でたんぱく質、糖質、脂質などの代謝をスムーズにし、
 体調を整えるために欠かせない栄養素です。

必要量はごくわずかですが不足すると疲れやすくなったり、肌が荒れたり、
 皮膚炎になったりと様々な症状が現れやすくなります。

 逆に過剰に摂り過ぎてしまうことで健康を損ねてしまうこともあります。

栄養機能食品によってビタミンやミネラルを簡単に摂れますが、
1日の摂取目安量を超えないように注意することが必要です。

もちろんこのような健康食品を摂らなくても、普段の食事からビタミンや
 ミネラルを摂ることができます。

○ご飯・パン・麺類・芋類…ビタミンB₁・Cなど
○肉・魚・卵・大豆製品…ビタミンA・B₁・B₂、カルシウム、鉄など
○野菜・果物・海藻…ビタミンA ・B₁・B₂・C、カルシウム、カリウム、鉄など
○乳製品・小魚…ビタミンB₂、カルシウムなど
○油脂類…ビタミンA・D・Eなど

上記のような様々な栄養素をバランスよく摂るためのポイントは、

・主食(ご飯・パン・麺類)
・主菜(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品)
・副菜(野菜・海藻・きのこ類)

のそろった「定食スタイル」のもの

をとることがおすすめです。
しかし、1日3食定食スタイルを摂ることが難しいことあると思います。

特に外食などは野菜が不足しがちなので、外食をする機会が多い方は
定食スタイルの野菜がたっぷり入ったメニューを選んだり、
 朝食や夕食で野菜を補えるようにミニトマトやもずく酢など
簡単に食べられるものを冷蔵庫に入れておくなど工夫してみましょう。

数多くの食品を食べることが多くの栄養素を摂るポイントになります。
パンや麺などの単品ですませたり、食事を抜いてしまうと摂れる食品数
が減り栄養素摂取が偏りやすくなるため1日3食摂ることが理想的です。

 健康食品は手軽に試すことができますが、
 「これを食べたら必ず健康になる」というものはありません。
また、普段の食事も「これだけ食べていれば大丈夫」というものはありません。

人は様々な食品を摂ることで健康な体をつくることができます。

健康食品に目を向ける前に、まずは普段の食事でできることを見直してみませんか?

(管理栄養士 湯地 恵)