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「第22回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」が開催されました

2016年07月19日(火)

先日、厚労省主催の「第22回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を傍聴しましたので、簡単に内容をお伝えいたします。

今回は、H26年度の特定健診・特定保健指導の保険者別の実施率の発表、前回に引き続いて問診項目の変更について、などが議題となっていました。

資料は以下のサイトにありますので、ご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000130002.html

○H26年度(2014年度)の特定健診・特定保健指導実施率について

特定健診受診率、特定保健指導実施率とも、H20年度に比べると上昇しているが、依然として全体でみると目標に比べて低い。

(抜粋)
・H26 特定健診実施率(目標: 70%)
全体:   48.6%(←38.9%) ※カッコ内の数字はH20の実施率
健保組合: 72.5%(←59.5%)
協会けんぽ:43.4%(←30.1%)
市町村国保:35.3%(←30.9%)

・H26 特定保健指導実施率(目標: 45%)
全体:   17.8%(←7.7%) ※カッコ内の数字はH20の実施率
健保組合: 17.7%(←6.8%)
協会けんぽ:14.8%(←3.1%)
市町村国保:23.0%(←14.1%)

・健保組合の被保・被扶別H26実施率
特定健診実施率: 被保険者 84.6%、 被扶養者 45.0%
特定保健指導実施率: 被保険者 18.5%、 被扶養者 8.4%

健保組合の特定健診受診率は、保険者別に見ると高いですが、被保険者の受診率は84.6%と、まだ90%に届いていません。この84.6%という数値は1400ほどある健保組合の受診率の平均値ですので、95%以上の受診率の健保もあれば低い受診率の健保もあると思われます。平均値に加え、受診率の分布も公表されたら参考となる健保さんも多いと思います。

また、今回発表された特定健診受診率についても、健保組合の被保険者の平均は20%以下ですのでまだ低い数字と言えると思います。

議論の中で、次のような意見も出ていました。
・実施率があがっていないことを深堀して要因を見つけることが今後の課題
・全体的に被扶養者は実施率低い。告知方法等は今後の課題
・受診者の立場で言うと、特定保健指導を受けるために業務を抜けるのは、特に中小企業の場合は難しい。国として、受診率向上を目指すのであれば、経営者への周知を徹底してほしい
・特定保健指導の実施には保険者としてはお金も手間もかかる。「保健指導」の実施が大事なのであって、例えば定期健診時の医師面談なども保健指導として評価すべきでは

○問診項目について

・前回の議論をふまえ、これまで実施の継続性も考慮して、大幅な変更ではなく必要最低限の変更にする
・現案としては、1問削除、1問追加(全体の質問項目数の変更はなし)
歯関連の質問はやはり盛り込みたいということで1問追加、その代わりに1問削除する。

削除案 「この1年間で体重の増減が±3㎏以上あった」
追加案 「食べる時の状態はどれにあたりますか」
(①何でもかんで食べることができる、②、③…)

※保健指導受診の希望を聞く質問「保健指導を受ける機会があれば利用しますか」については残る予定です

・ほか、いくつかの質問は文言を修正
変更前「夕食後に間食(3食以外の夜食)をとることが週に3回以上ある。」

変更後「朝昼夕の3食以外に間食(菓子類)や甘い飲み物を摂取していますか。」
など

○詳細な健診項目について
・12誘導心電図、眼底検査
(現行)前年の健診結果に基づき、必要な場合は翌年度に実施
(見直し案)当年度の特定健診のデータをもとに、必要な場合は速やかに実施

特定健診実施同日の検査実施が可能か、後日受診は現実的か、そもそも詳細な健診項目の位置づけとはなどに話がおよび、結果的には、引き続き、見直し案の検討がされることになりました。

さて、はじめにお伝えした特定健診の受診率について、弊社でお付き合いのある健保さんの多くは、被保険者の特定健診の受診率は95%以上となっています。コラボヘルスの第一歩となる従業員健診の結果を事業主から受領できていれば、難しい数値ではありません。今回公表された平均値が84.6%ということは、事業主から健診結果を受領できていない保険者も多いということが推測できます。

また、特定保健指導の受診率も、健保組合の被保険者の平均は20%以下と低い数字でしたが、弊社でお付き合いのある健保さんでは高い受診率となっています。これは、特定保健指導については、実施している健保さんと実施していない健保さんの2極化がより顕著だということと推測します。

弊社では、経年のデータで、特定保健指導の効果分析を実施しておりますが、まじめに取り組んでいる健保さんでは、全体の健診結果においても改善が見られておりますし、生活習慣病関連の重症化も予防できていると見ております。特定保健指導については、効果検証が難しい側面もありますが、生活習慣の改善、適正受診、健診結果の改善は、必ず重症化の予防となります。取組みが不十分な健保さんも、対象者の優先順位を検討したうえで、保健指導に取り組んでいただけたらと思います。

なお、特定保健指導については、実施率の評価だけではなく、実施内容の評価の確認も重要になることを付け加えておきたいと思います。たとえば、特定保健指導受診者の満足度、生活習慣の行動変容、腹囲、体重の増減などによる内容の評価を実施することが望ましいです。

今後も検討会の様子をご報告していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。