駆け出し産業保健師メディ子、まだまだ成長中!(2年目)~健康セミナー編~
2023年11月24日(金)
こんにちは、駆け出し産業保健師のメディ子です。
産業保健師として、無事1年を終え、2年目になりました!
年間の産業保健活動について、全体を知ることができましたが、
今回はその中の一つ「健康セミナーの実施」について、体験したアレコレを、
駆け出し産業保健師(2年目)の目線でお伝えしていこうと思います。
駆け出し保健師として奮闘している方やこれから産業保健師になりたい!
と思っている方へ参考になれば嬉しいです。
健康セミナーはどのように企画されるか?
産業保健活動における健康教育の目的は、
働く人が自ら健康への意識や知識を高め、予防に向けた生活習慣の
獲得や行動変容に繋げられるよう後押しをする機会を提供することにあります。
健康セミナーのテーマで弊社で実施しているテーマは以下です。
・定期健康診断の結果の見方
・食事や運動について、生活習慣改善に向けたアドバイス
・たばこが体に及ぼす影響
・女性特有の健康課題について
私はこの1年間で、複数の企業様で単発の健康セミナーを
担当させていただくことが多かったのですが、振り返ると
「セミナー開催に至ったきっかけ」は多くの企業様において、
働く人たちの困りごとがきっかけとなり企画されていることが分かりました。
例えば、「定期健康診断の有所見率が年々悪化しており、
健診担当者さんが困っている」ということがあれば、
「健康診断結果の見方や、生活習慣改善に向けた健康セミナーを行うと、
解決につながるかもしれない」と課題改善に向けた方策として
セミナーを企画・提案していく流れになります。
産業保健の課題は現場から!
保健師は従業員さんの生の声を聴くことができる立場にいるので、
日ごろから耳にする困りごとや、健診結果を確認する際に
”こうした傾向があるのではないか”という疑問が、
事業所の健康課題として浮彫りになってきます。
1人1人に対する個別支援に加えて、
健康セミナーは集団への支援には効果的なアプローチの1つで、
健康的な文化のきっかけづくりにもなります。
先日実施したセミナーで、
「当社が全国平均と比べてこんなに悪いことに驚いた」という
お声をいただき、自社の課題を元にセミナーの企画や実施をすると、
より自分事に捉えていただける機会になるな、という実感を持ちました。
健康セミナーの提案に向けて行ったこと
担当企業様やそこで働く人の困りごとがわかったら、
具体的にどのような健康セミナーを実施するかについて考えていきます。
健康セミナーの企画を人事担当者様へ提案するにあたり、
先輩保健師から、どんな準備をするとよいか教えていただきました。
①自分の強みの棚卸しをして、歩みの価値を俯瞰しておく
今まで携わった業務や現在身に着けていることを書き出して、
自分は産業保健師としてどんな強みがあり、
健康セミナーでどんなことが提供できるかを明確にしました。
②健康セミナーのテーマの実施理由を明確にする
「組織に向けて」「社員に向けて」それぞれに対し、
健康セミナーの目的と実施による負担について明確にしました。
③健康セミナーの対象者の分析をする
対象者の分析にあたり、どんな日常を送っているか、
対象者が持っている能力や経験、テーマへの意欲や関心を明確にし、
理解を深めました。
④健康セミナーのゴールを明確にする
健康セミナーに参加してくれた方に何を学んでほしいかを明確にしました。
4つを明確にすることで、健康セミナーの企画が
より具体的で実践的なものになり、企画を提案することに対する
私の漠然とした不安も減少したように思えます。
参考文献:産業保健スタッフのための教え方26+5の鉄則 イケてる健康教育はインストラクショナルデザインで作る!
柴田喜幸著,中央労働災害防止協会
健康セミナー実施前日までにやったこと
企画が決まった後は、実際にどのような健康セミナーを行うか
について考えていきます。
実際に先輩保健師と一緒に私がやったことをお伝えします。
◆健康セミナー資料の準備
健康セミナーは「導入・展開・まとめ」で構成すると全体の流れが伝わりやすいこと、また、1枚のスライドに1メッセージとすることで、
シンプルな分かりやすい資料になることを先輩保健師から学びました。
資料は、専門的な知識を詳しく説明する資料以外にも、
説明した知識の定着を図るためにクイズやワーク、
体を動かすような体験を盛り込みました。
また、うまい教え方の要素の一つとして、「ガニェの9教授事象」があります。
9種類の働きかけをもとにアイデアが整理しやすくなることも学びました。
健康セミナーの練習
私がこれまで行ってきた健康セミナーは15分~1時間程度のものでした。
担当企業様や社員の困りごとがきっかけとなった健康セミナーとは言え、
社員の貴重な仕事の時間をお借りして実施していることには変わりないので、
決まった時間に終了できるように念入りに練習しました。
また、自分以外の人に一度は見てもらうと、癖や話の伝わりやすさなど、
気づきがありましたので、おすすめです。
◆健康セミナー当日の場所や使用するものの確認
人事担当者に依頼し、当日使用する場所や使える機材を事前に確認しました。
事前に確認することで健康セミナー当日の受付や椅子、登壇の配置を考えたり、
音声トラブルのチェックが出来、スムーズな進行につながりました。
また、ウェビナーでの実施の場合は、
通信環境が進行のトラブルにつながりやすいので、
wifiトラブルのない場所や会議システムのアプリの更新など、
先輩保健師に協力を仰いで事前の準備は入念に実施しました。
いよいよ緊張の健康セミナー当日!
健康セミナーの当日は、事前に確認した資料やパソコンなどの機材を持参の上、
実施場所へ向かいました。
椅子と資料が投影されるスクリーンを人事担当者が準備してくださったので、
置かれた椅子に実際座りながら、自分やスクリーンの見え方を確認しました。
社員が受付を済ませ、着席し、椅子が埋まっていくのを見ていると、
緊張感が高まってきましたが、先輩保健師から「とにかく笑顔で、
自分が楽しむこと」と健康セミナー実施に向けた
心得を事前に伝授してもらったので、
それを思い返すことで楽しんで実施することができました。
特に単発で健康セミナーを行う場合は、
お互い初めましての状態から始まりますので、
クイズや質問で参加者と対話する機会を持つことで、
よい場づくりにつながったと後から振り返って感じました。
また、健康セミナー当日は受付で参加者の満足度
・分かりやすさ・一番興味を持った章に関するアンケートを
配布しておりましたので、その結果を集計したり、
アンケートに記載している参加者からの感想を見ることで、
健康セミナーの事業評価と自身の振り返りに役立て、PDCAを意識しました。
健康セミナーを通して得た学び
健康セミナーの企画・準備・実施を通して、
私が今後活かしていきたい心得が2つあります。
1.健康セミナーの目的やゴールを明確にし、人事担当者と認識を合わせる
健康セミナーの実施は保健師単独では決して行うことができず、
企業先の人事担当者を始め、協力が必要になります。
多少時間がかかっても足並みをそろえて、人事担当者と目的やゴール、
健康セミナーを行うことで担当企業様や社員にどのような
効果が期待できるかについて認識をすり合わせ、
準備していくことが大事だと学びました。
2.準備が8割と思って、取り組む
準備の段階でどこまで当日の実施イメージが想像できているかによって、
当日の進行のしやすさや社員との温度感に関わってくることを学びました。
場数を踏んで慣れていくことも大事ですが、
先輩保健師からのアドバイスや経験談を聞くこととても重要だなと感じました。
おわりに
健康セミナーは産業保健師が日ごろの保健師業務を活かし、
ポピュレーションアプローチを発揮できる場であると実感しました。
健康セミナーを行うことで企業やそこで働く人たちへもたらす
健康増進への効果を最大限活かすためにも、
日ごろから関係者との信頼関係を大切にして、
保健師の五感を使った「聞いて・見て・つくって・うごかす」を
真摯に活動していきたいと思います。
スーパー産業保健師への道のりはまだまだこれから。
駆け出し産業保健師メディ子、今日も精進します!
- Category:メディヴァの健康経営支援