MEDIVA健康コラム

プリン体オフで万全?? ~尿酸値が気になる人のレジャーの楽しみ方~

2016年07月28日(木)

各地で梅雨も明けて、いよいよ夏本番です。
河川敷ではバーベキューを楽しんだり、地域のお祭りから大規模な花火大会など、
夏祭りも開催される季節となりました。屋台の焼き鳥、フランクフルト、たこ焼き、
枝豆。最近では牛串など、おいしそうな物も沢山。これらをつまみに、プシュッと
ビールの缶を開けてごくり。たまりませんね。

そんな楽しい季節も、尿酸値の高い方にとっては気になる季節ではないでしょうか。
昨今では、「ビールといえばプリン体」というイメージが定着してきています。
実際、プリン体オフのビールなどが商品として登場し、売り上げも伸びているのが
現状です。

そこで、「プリン体オフのビールを選んでいれば尿酸値を気にせずお酒が楽しめる!」
と思っていませんか?

実は、プリン体オフのビールを飲んでいても、その飲み方や一緒に食べるおつまみ
にも気を付けないと、尿酸値を気にせずお酒を楽しむことはできないのです。

そもそも、『プリン体』『尿酸』『尿酸値』とはどのような関連があるのでしょうか。

簡単に説明すると次の通りです。

『プリン体』とは、全ての細胞に含まれる成分で、ビールだけでなく、肉類・魚類
・穀類・野菜類などほとんどの食品に含まれています。
(=食事によって常に摂取している)

 このプリン体が、体内で分解された時に作られるのが『尿酸』です。
尿酸は、尿中に溶けて排泄されるのですが、多すぎる尿酸は血液中に残ります。
血液中に残った尿酸量を示す数値が『尿酸値』で、尿酸値が高いまま放置していると、
痛風の原因となってしまいます。

つまり、『プリン体』は食事により常に摂取しているため、ビールだけをプリン体オフ
にしても尿酸値の改善には足りないのです。

 まず着目したいのが、プリン体の含まれる量です。

通常のビール(350ml 1缶)で20mg前後、発泡酒(350ml 1缶)で10mg前後が含まれて
います。一方で、鶏のから揚げ100g(3~5個)で125mg、焼鳥のレバー1本で約90mg、
もも1本で約35mg、お刺身ではマグロの赤身1切れ20mg、イカ1切れ30mg、枝豆は1皿で
約15mgと、ビールよりも周辺のおつまみからの方がプリン体の摂取量は多いのです。

そこで、尿酸値を上げないようにレジャーを楽しむためには
次のことを心掛けてみましょう。

1, 食事全体量を意識しましょう

食事により摂取しているプリン体なので、1日の食事を食べ過ぎていると、
それだけプリン体摂取も多くなってしまいます。また、食べ過ぎは肥満にも
つながります。肥満が改善されると尿酸値も下がってくるといわれていますので、
肥満改善のためにも食事量は大切です。
食品のなかでも、特にプリン体が多く含まれている肉類・魚類の食べ過ぎには
注意が必要です。
1回に食べる肉類・魚類の量は100g前後、ご自身の手のひらサイズを目安に
してみましょう。
また、プリン体は水に溶けやすい性質があるので、ゆでたり煮たりする調理法も
お勧めです。
ただ、バーベキューや屋台ではこのような調理法の物はあまりないので、
前後の食事で意識するのも当日を楽しむ対策の一つです。

一方で、野菜類や海藻類に含まれるプリン体は少なめです。
例えば、冷やしトマトのプリン体は0mg、ポテトサラダやスティック野菜+マヨネーズで
2~3mg程度。
肉類や魚類を減らす一方で、バーベキューではピーマン、なす、しいたけ等の焼き野菜
メニューを増やしたり、お祭りには人参、大根、きゅうりなどのスティック野菜を持参
したりしてみてはいかがでしょうか。

2, お酒の量にも気を付けましょう

お酒の適量は、ビールなら500ml1缶、日本酒なら1合、焼酎なら1/2合です。
プリン体の少ない焼酎でも、アルコールには尿酸値を上げる作用があるため、
飲み過ぎには注意しましょう。
ノンアルコール飲料を活用したり、夏祭りやバーベキューの前後などは、
休肝日を設けるのも大切ですね。

3, 水分摂取も忘れずに

尿酸は尿に溶けて排泄されるので、尿量が減ってしまうと上手に体外に排泄されません。

摂取量を減らすのも大切ですが、上手に排泄することも尿酸値を上げないためには
大切です。普段から水分摂取を心掛けましょう。
特に暑い夏の時期は、こまめな水分補給が熱中症の予防にもつながります。
お酒を飲むと利尿作用はありますが、体内の脱水も進みやすくなります。
暑い夏に、屋外でお酒を飲む機会のある方は、
お酒の合間に、お酒と同量のお水やお茶なども積極的に飲むようにしましょう。

プリン体オフの商品も上手に活用しながら、日々の食事量・お酒の量にも意識して
今年の夏、レジャーを楽しんでみてください。

(管理栄養士 丸山 有加)