減量にもリスクが!~健康的に体重を増やすには~
2016年03月07日(月)
現代は、ダイエットの情報は常にあふれていて『やせ=健康』と思われがちですが、本当にやせる必要がない人までダイエットをすると“やせ過ぎ”となり“肥満”の人よりもさまざまなリスクが高くなるということをご存知でしょうか。
“やせ”とは体格指数(BMI=体重㎏÷身長m÷身長m)が18.5未満のことをいいます(18.5以上24.9以下が標準体重、25以上が肥満)。
例えば、身長150cmでは41.6㎏以下(例41.6kg÷1.5m÷1.5m≒18.5)、身長160cmでは47.4㎏以下、身長170cmでは53.4kg以下の人があてはまります。
“やせ“のリスクとして、例えば平均寿命では”やせ“の人が最も寿命が短いという結果が出ています。
理由として”やせ”の人は、がんや肺炎などの呼吸器疾患、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞などの血管疾患の死亡率が高くなる傾向が見られました。
また貧血や低血圧などの症状や骨がもろくなるリスクもあります。
それだけではありません。
特に女性のやせは、卵巣機能が低下し月経不順や無月経になったり、妊娠する力の低下や生まれてくる赤ちゃんが肥満や生活習慣病になるリスクが高くなることも指摘されています。
ですから”やせ”に該当する人は、まずBMI18.5以上の体重を目指すことが大切です。
しかし中には「体重を増やしたくても、増やせない・・・」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方は下記のような心当たりはないでしょうか。
(1)食事は1日2回以下である
食事の基本は1日3食です。
ついつい忙しかったりすると、食事を後回しにしてしまって「1日2食しか食べていなかった」ということはありませんか。
食事の回数が少なかったり、食べる食品の栄養量が少ないとエネルギー不足になるため、筋肉や脂肪を分解してエネルギーを補ってしまいます。
まずは食事の優先順位を上げて、1日3回、“体を作る材料を補給する”という気持ちで食事を食べる時間や補給するタイミングを作りましょう。
(2)胃腸が弱い
胃腸が弱い人には、食べられないタイプと食べているのに体重が増えないタイプの2タイプありますが、どちらも“消化吸収される量が少ないという共通点があります。
これを解決するには
1)早食いせずに良く噛んで、食べたものを消化しやすくする
2)無理やり1回量を増やして胃腸の負担が重くならないように、
消化の良いものを無理なく食べられる量を食べ、間食も含めて少量でも
食べる回数を増やす
ことです。
体重増加にもっとも重要な栄養素は、三大栄養素の炭水化物・たんぱく質・脂質です。
その中でも炭水化物の多い食品(ごはん・パン・麺類・イモ類など)が増えなければ体重は増加しません。
またたんぱく質の多い食品(肉類・魚介類・卵・乳製品・豆腐、納豆などの大豆製品)をしっかり食べることで筋肉や血液などの体の組織を作っていくので毎食必要です。
脂質も必要な栄養素ですが、たんぱく質の多い食品に含まれていたり、ドレッシングなどの調味料からもとれるので、あえて増やす必要はありません。
むしろ肉の脂身や揚げ物など明らかに脂肪の多いものは胃腸に負担をかけるため、とり過ぎに気を付けましょう。
食欲があまりない時は、みそ汁やスープの中に卵を溶いて入れたり、そうめんや春雨、お麩、ギョウザの皮を切ったもの、小さなもちやあられなどを入れると食べやすくエネルギー補給になります。
ゆで卵1個がお腹にたまってしまう方も、生卵や温泉卵1個をいつものごはんに混ぜると同じ1個の卵でも楽に食べ切れます。
洋風にするなら、粉チーズやとろけるチーズなどを加えると栄養量が増えます。
野菜の摂取は、生野菜は消化に時間がかかり、低カロリーになりますので、とろろ芋など食べやすくてカロリーの高い野菜を足したり、カボチャやじゃがいも、さつまいも、ニンジン、トマト、とうもろこしなど糖質の多い野菜を増やし、スープにしたりジュースを活用すると、1回に食べる量が少なくても栄養量が増えます。
間食としては、チーズやレーズン・プルーンなどのドライフルーツは軽くて少量でも栄養価が高く、手軽に食べられます。
また食事をするときは、飲み物にも注意しましょう。
氷の入った飲み物やビールなどは胃を冷やして血流を悪くしてしまいますし、甘い飲み物は早めに食欲がストップしてしまいます。
食事の前に飲み物が入り過ぎると食事量が減るのでまずは食事を優先しましょう。
のどが渇いたときは、お茶やお水だけではなく、豆乳・牛乳・ココア・ゼリー飲料・100%ジュースなどで水分補給すると、液体でもエネルギー源になりますので、1回にたくさん食べられない方にはおすすめです。
体は食べたものから作られます。
できることから始めてみて、少しずつ体重を増やし、健康な体を維持できるように心がけてみてください。
立春も過ぎ、暖かくなってきました。
春の訪れを探しに歩くなど、普段より少し体を動かすとお腹も空いて、いつもより沢山食べられるかもしれませんね。
(管理栄養士 柳生 奈美)
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