MEDIVA健康コラム

夏でも減塩

2015年07月28日(火)

毎日暑い日が続きます。この時期、水分補給と一緒によく話題になるのは、
塩分の補給。夏場は汗に塩分が出ていくから、塩を多めに摂らなくては!
と思っていませんか?今回は『夏の減塩』がテーマです。

2015年4月1日より、厚生労働省は日本人の食塩摂取量の目標量を変更しました。

==食塩摂取の目標量・成人1日あたり==

高血圧の方:塩分6.0グラム未満
男性:塩分8.0グラム未満
女性:塩分7.0グラム未満

従来の基準に比べると、男性では1.0グラム、女性では0.5グラム少なくなっています。

≪塩分の目安≫ 味噌汁1杯:約1.5グラム  梅干1個:約2グラム

ところが、日本人の食塩摂取量は平均1日10グラム以上と多く、
推定平均必要量(1日1.5グラム)をはるかに超えています。

では、なぜ減塩が大切なのでしょうか?

塩分と血圧は深い関係にあり、塩分を摂りすぎると血圧が上がりやすくなります。
高血圧の状態が続くと動脈硬化が進行し、脳梗塞、心筋梗塞などの原因になります。
このことから高血圧の人は原則として、夏でも塩分を制限すべきだとされています。
また、現時点で高血圧と診断されていなくても、高血圧予防、動脈硬化予防のため
に普段から減塩を心がけることが大切です。

あなたは夏の“塩分あるある”に該当していませんか?
まずは以下の塩分チェックをご覧ください。

チェック1.熱中症対策として、塩飴や梅干など1日に1個は摂るようにしている。

チェック2.水分補給は、スポーツドリンクが一番よいと思う。

チェック3.夏は冷やし中華、そうめん、ざるうどん、ざるそば、などをよく食べる。

チェック4.夏は普段より濃い味付けを食べたくなる。

上記のチェックに当てはまる方は、塩分の過剰摂取になっているかもしれません。

チェック1.に当てはまる方へ
→じんわりとかく汗の場合は、水分補給のみで十分です。
ただし、一気に大量に汗をかいたとき
(炎天下や高温下で作業を続けた場合や長時間の運動など)や、
食事から塩分があまり摂れていないとき(『パンと牛乳だけ』
『ヨーグルトとバナナだけ』など)は補給が必要です。

チェック2.に当てはまる方へ

→スポーツドリンクには、ペットボトル(500ml)1本中、塩分が約0.5~0.6グラム
含まれています。高血圧で減塩が必要な方にとっては、
1日の塩分摂取目標量の10分の1に相当する量です。
ですので普段の水分補給は、水やお茶がお勧めです。
また、薬局やCMなどで見かける経口補水液はペットボトル(500ml)1本で
塩分は約1.5g含まれています。
経口補水液は脱水や熱中症、重度の下痢などの際には効果的ですが、
普段の水分補給には適しません。

チェック3.に当てはまる方へ

→冷やし麺は、喉越しがよく夏の人気メニューですが、塩分を多く含むものも
たくさんあります。市販品や外食店では、塩分が4~5グラム以上含まれてい
る場合がほとんどです。お昼に食べたら、夕食の漬物や汁物は控えるなど、
他の食事で塩分を摂り過ぎないように調節されると良いですね。

【減塩アイデア~冷やし麺~】

減塩のためには、塩以外の『味』を上手に使うのがポイントです。
今回は『香味』、『旨味』、『コク』、『酸味』をご紹介します。

≪味を加える≫

・薬味をたっぷり使う→ショウガ、ミョウガ、青じそなどの香味野菜で風味が増す
・トッピングにカツオ節を使う→カツオ節で『ダシ』の旨味を強くする
・ゴマ油やラー油などをつゆに少量加える
→油でコクを出す(ただし油はたくさん使いすぎると高カロリーなので注意)
・スダチの皮の青い部分のすりおろしや果汁を加える
→柑橘類の酸味でしっかりとした味になる

≪その他≫

・乾麺(そうめん・そばなど)は、ゆでたらざるに上げて流水でよくもむ
→しっかりと流水でもみ洗いして塩分カットする
・野菜・きのこ・海藻をたっぷり食べる
→豊富に含まれているカリウムは塩分(ナトリウム)を体外へ排出する働きがある

チェック4.に当てはまる方へ

→睡眠不足や疲れ、ストレスなどによって普段より味の濃いものを食べたくなること
もあります。また、ミネラルが不足しているときは塩味を無性に食べたくなることも。
そんな時は野菜・海藻・きのこ類などを意識して多めに食べるのがお勧めです。

たくさん塩分を摂りすぎて、夏場の高血圧…とならないようにご注意くださいね!

                          (管理栄養士 佐々木 夏子)