大人の偏食 〜「ばっかり食べ」していませんか?〜
2015年02月27日(金)
偏食と聞くと、幼い子どもが食べ物に対して好き嫌いがあり、
好きなものばかり食べているイメージをもつ方が多いのではないでしょうか。
好きなものばかり食べているということは、同じ栄養素に偏り、必要な栄養素を充分
摂れていないことを意味します。発育・発達の時期は、様々な栄養を摂ることが健康な
身体作りの為に大切です。
しかし、その子どもの周りにいる大人はどうでしょうか?
今回は、意外と多い、大人の偏食についてお伝えしたいと思います。
大人の場合、好きなものに偏った食事やラーメンだけというように、単一の食品だけを
摂る「ばっかり食べ」のような食事が続くと、老化を早めたり、風邪を引きやすくなっ
たり、生活習慣病を招く原因ともなり兼ねません。
身体は本来、食べたものを材料として作られています。古くなった血液や、筋肉、ホル
モンなどを新しいものに作り替えるための栄養が常に必要です。ですから、1日3回の食
事で、その都度質の良い栄養を補う必要があります。
例えば、仕事が忙しく食事の時間がとれない時や一人で食べる時は、おにぎりだけ、
そばだけのように簡単に済ませてしまいがちです。その場合、エネルギーや体温保持の材料
となる炭水化物はしっかり摂ることができますが、筋肉や血液の材料になるたんぱく質や、
体の調子を整えるビタミンやミネラルなどの栄養素が不足してしまいます。
そこで、そんな時にもできる朝食や昼食の摂り方の基本パターンを、具体的なメニューを
例にご紹介いたします。
【おにぎりだけを食べていた方の場合】
例:おにぎり+おでんの具2〜3品+野菜サラダ(野菜ジュース・果物)
おにぎりを選ぶときに、いつもと違う種類を選ぶだけでも、いろいろな栄養を摂ることが
できます。
玄米や雑穀、サケ、納豆巻きなどにするとさらに栄養量がアップします。
また、海苔がついているだけでもずいぶん違います。
ご自宅では焼き海苔をたっぷり食べることでもビタミン、ミネラル食物繊維の摂取量が
増えるので、食卓に常備しておくとよいと思います。
おでんの具材の中で、もち巾着やちくわぶは、ごはんの仲間の栄養素が多いので、
体重の増加や血糖が気になる方は、おにぎりを1個減らして、その他のものを選ぶことを
おすすめします。
おでん以外の場合、たとえばコンビニでは、から揚げや焼き鳥などの肉類、
ご自宅では豆腐をレンジで温めたものや目玉焼き、魚の缶詰や笹かまぼこをプラスすると
おにぎりだけでは不足しやすいたんぱく質を補うことができます。
果物を野菜の代わりとして摂ることがおすすめというわけではありませんが、
野菜のおかずの追加が難しい場合には、まずは生の果物を加えて、ビタミンCやカリウムなど、
少しでも体調を整える栄養を補給しましょう。
野菜ジュースは、飲んでいれば健康になれるものではありません。
しかし、野菜の摂取を全くしないよりは、野菜ジュースをプラスすることで、
ビタミンなど摂れる栄養素の量は増えます。非常食的な活用をするのであれば、
単に甘い清涼飲料水よりおすすめです。
【菓子パンだけを食べていた方の場合】
例:サンドウィッチ+牛乳+野菜スープ
菓子パンや調理パンは、すぐにお腹が空きやすいですが、糖分や脂肪分が多いため、
カロリーは高めです。
パンが食べたい時は、具材が一緒にとれるサンドウィッチがおすすめです。
できれば肉や魚、卵、野菜の具材の種類、パンの種類を変え、可能な範囲で日替わりにして
選ぶことをおすすめします。とんかつやメンチカツをはさんだサンドウィッチは、
思った以上に脂肪の摂取量が多くなりますが、たんぱく質もとれる1品です。
頻度を多くしないことと、次の食事では肉の摂取を控え、カロリーが高くなり過ぎない
ように意識することが必要です。
サンドウィッチの具材が少ない時やロールパン、ベーグルのようにシンプルなパンを食べる
時には、牛乳やヨーグルト、豆乳などたんぱく質の多いものをプラスするのもおすすめです。
また、サンドウィッチのレタスやキュウリだけでは、1回の食事でとる野菜の必要量は満たせ
ません。野菜スープや野菜サラダなどがあると不足分を補うことができます。
【パスタ・うどん・そば・ラーメンだけを食べていた方の場合】
例:肉や卵、野菜、海藻など、具材が沢山使ってあるメニュー
めん類が中心のメニューで不足しやすいものに、たんぱく質とビタミン、食物繊維があります。
なるべく、具材がたくさん使ってあるメニューを選んだり、サイドメニューで、
卵料理(温泉卵、卵焼き、茶わん蒸し)や豆腐、わかめやほうれん草、野菜サラダなどを加える
と食品の数や色が増え、摂れる栄養素の量と種類が増えます。
また、具材が増えることで栄養素だけではなく、かむ回数も増えるため、早食いになりやすい
めん類の欠点を補うことができます。
まずは、今日食べたもの、この一週間に食べたものを振り返ってみてください。
同じメニューが続いている場合には、いつもと違うものを選んだり、
あるいは1品をプラスし、「ばっかり食べ」にならないように意識してみましょう。
(管理栄養士 丸田美幸)
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