MEDIVA健康コラム

夏の水分補給の強い味方!麦茶について

2025年08月08日(金)



厳しい暑さが続くこの季節、水分補給の強い味方といえば麦茶です。

ゴクゴクと飲める手軽さだけでなく、実は私たちの健康にうれしい効果や効能がたくさん詰まっています。今回は、そんな身近な存在「麦茶」の魅力をご紹介します。

◎麦茶とは

麦茶は、焙煎した大麦の種子をお湯で煮出す、または水に浸して作られるお茶です。

その歴史はとても古く、平安時代には貴族の間で飲まれていたとされています。
戦国時代には武将たちも飲むようになり、
江戸時代になると「むぎ湯」として庶民の間にも広がりました。

さらに、昭和30年代には冷蔵庫の普及により、
家庭で煮出して冷やした麦茶が夏の定番飲料となり、
今では日本の夏を象徴する飲み物のひとつとして親しまれています。

◎麦茶の栄養成分

「麦茶にはミネラルが含まれている」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

実は麦茶には、暑い時期に特に意識したいミネラルがバランスよく含まれています。
主な成分とその働きは、以下の通りです。

(麦茶/浸出液/100g当たり)

ナトリウム1㎎浸透圧の調整、体内の水分バランス維持
カリウム 6㎎ナトリウム排出を助け、むくみ予防にも効果
カルシウム 2㎎骨や歯の形成をサポート
リン 1㎎骨や歯の形成、pHバランス・浸透圧の調整
亜鉛 0.1㎎味覚・免疫機能など、細胞の働きをサポート

コップ1杯(約200ml)で摂れるミネラル量はごくわずかに見えるかもしれませんが、
ミネラルは体内で作れないため、毎日の食事や飲み物からこまめに補うことが大切です。
特に汗をかきやすいこの季節は、水分と一緒にミネラルも失われがちなため、
麦茶をこまめに飲むことで、水分とミネラルの両方を補給でき、
暑さ対策としても効果的です。

◎麦茶のうれしい効果や効能

◆ノンカフェイン

カフェインを含まないため、お子さんや妊娠中の方でも安心して飲むことができます。

◆抗酸化作用で体を守る

麦茶に含まれるポリフェノールには、細胞を傷つける「活性酸素」を
抑える抗酸化作用があります。これにより、老化の予防や、
がん・生活習慣病のリスク低減にもつながると期待されています。

◆胃粘膜を守り、内側からサポート

麦茶の抽出成分には、胃の粘膜を保護するはたらきがあることが分かっています。

また、糖尿病の合併症の予防や炎症の抑制効果も報告されており、
体の内側から健康を支えてくれる、頼れる飲み物です。

◆血行促進

麦茶の香ばしさのもとである「アルキルピラジン」という成分には、
血流をよくする作用があるといわれています。

血のめぐりが良くなると、冷えの改善や代謝の向上にもつながる可能性があります。

◎麦茶を暮らしに取り入れるときのポイント

麦茶はノンカフェインで、大人から子どもまで安心して飲める飲み物です。
日々の生活に麦茶を上手に取り入れるためのポイントをご紹介します。

◆水分補給に活用

朝起きたとき、運動後、お風呂上がりなど、水分やミネラルが不足しがちな
タイミングでこまめに麦茶を飲むのがおすすめです。

◆飲み方を工夫

麦茶の原料である大麦には体を冷やす作用があるため、
暑い季節の体温調節におすすめです。
ただし、冷えが気になる方や胃腸が弱い方は、体が冷えすぎてしまうこともあるため、常温に戻してから飲むのもおすすめです。

◆衛生面に注意して保存

麦茶は常温で放置すると雑菌が繁殖しやすいため、作った後の管理が大切です。

・パックは抽出後すぐに取り出す。

・粗熱が取れたら冷蔵庫で保存。

・開封後の麦茶(ペットボトル含む)は1〜2日以内に飲み切る。

・保存容器やコップは清潔なものを使う。

夏場は特に、こまめに作り直して「衛生管理」を意識しましょう。

◆作り方で風味が変わる

手軽に作れる麦茶ですが、煮出しでも水出しでも栄養価に大きな差はない
とされています。

・煮出し麦茶:香ばしさやコクがしっかり

・水出し麦茶:苦みが少なく、すっきりとした味わい

飲みやすさや好みに応じて使い分けてみましょう。

◆手軽に楽しむ麦茶のアレンジ

忙しい時は、水出しパックを常備しておけばいつでも手軽に麦茶を楽しめます。
また、麦茶を凍らせてアイスキューブにすれば、
暑い日にぴったりの涼しげなデザートにもなります。

麦茶は、夏の健康管理にぴったりの飲み物です。上手に取り入れて、
暑さに負けない体づくりを目指しましょう!

MEDIVA 管理栄養士


【引用・参考文献】

●全国麦茶工業協同組合
https://www.mugicya.or.jp/index.html

●株式会社丸菱 麦茶の雑学辞典
https://www.marubishi-inc.co.jp/knowledge/

●日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
●厚生労働省 e-ヘルスネット 「栄養素と食品成分」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/information/dictionary-summaries/e-nutrient.html

●嗜好飲料として注目されている麦茶の成分と機能
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sst/10/1/10_53/_pdf/-char/ja

●香ばしい麦茶は血液をサラサラにする! ―カゴメ総合研究所がヒトで確認―
https://www.kagome.co.jp/company/news/2004/000396.html