ベテランカウンセラーが解説! メンタルヘルス相談対応後の「支援者のモヤモヤ」の正体と対処法
2023年04月14日(金)
皆様こんにちは。
公認心理師&臨床心理士のミワです。
今回のコラムでは、同じチームの保健師から出た話題についてお伝えしていきます。
それはこちら。
「メンタルヘルス相談の面談のあとに、なんだか(自分の)気持ちがモヤモヤするんです」
解説ポイントは4つ。
1:支援者側の情緒的反応(この場合、モヤモヤ)は自然に起こりうる
2:モヤモヤを紐解いてみよう
3:モヤモヤの扱い方
4:支援者としての心得力
1:支援者側の情緒的反応(この場合、モヤモヤ)は自然に起こりうる
精神分析の治療者と患者さんの間に起こる感情を広く示しますが、
ここでは、相談者と支援者(保健師)、に置き換えて考えてみましょう。
(頑固な拒否や、強すぎる依存など)
しかし、人と人がかかわるわけですから、ある程度の感情の交流は起こって当然です。
信頼できるとか、尊敬できるというほどよい転移が、治療や支援にとっては有効です。
面談後に「モヤモヤ」が残った、という理由のひとつとして、
相談者の感情に引きずられてしまっている、という側面はあるかもしれません。
そんなときは、「相談者さんの感情を、お裾分けされたんだなぁ」などと考えると、その「モヤモヤ」に巻き込まれず、支援者として中立的な姿勢を保つことに役立ちます。
2:モヤモヤを紐解いてみよう
1で示したように、支援者側に何らかの情緒的反応は起こるのが自然です。
まずは、このことを理解しておきましょう。
その上で、その「モヤモヤ」について「なんだろう?」と探ってみると良いでしょう。
相談者さんの感情をお裾分けされちゃった?
自分自身がうまく対応できなかったなぁ、と自分自身で反省している?
「こうすればよかった」と自分が後悔している?
相談のあと、相談者が落ち込んだり、悪い結果になっていたら、と自分が不安になっている?
この作業は、一人で行うよりも、信頼できる同僚や先輩などと行うと良いです。
そうすると、より客観的に「モヤモヤ」の正体が見えてきます。
3:モヤモヤの扱い方
2でモヤモヤの正体が見えてくると、対処方法が見えてきます。
・感情のお裾分けの「モヤモヤ」
→まず、感情転移である、と知的に理解しましょう。
そして、感情に巻き込まれている、今こんな気持ち、こんなことがあった、などと
信頼できる人と シェアしましょう。
相談者の情報も含まれますので、理想的には同じ職場の同僚や先輩ですが、一人職場などの
場合は、必要な秘密を保持したまま、同業者のコミュニティなどが利用できるといいかもしれません。
だいぶすっきりしますよ。心理職もよく行なっています。
・自分自身の課題があるとき
→知識やスキルの向上に向け、自己研鑽をしていきましょう。
また、自分自身の課題に向き合う勇気 も必要かもしれません。
同僚や先輩、同じ志を持つ仲間を頼り、助け合い、切磋琢磨しましょう。
具体的に、事例について先輩に相談してアドバイスを受け、次からの支援に活かせるように準備を整えておくことは、自信のなさや不安を軽減させてくれます。
4:支援者としての心得
その①:自分自身の心身の健康度を高く保てるよう心がけておきましょう。
支援者の心身の健康状態は、支援活動に影響します。
常に元気でいなければならない、ということではありません
(それは限りなく不可能に近いですよね)。
しかし、気をつけられることも多くあります。
たとえば
・適度な余裕を持つ(仕事を詰め込みすぎない)
・より良い生活習慣を心がける(不摂生になりすぎない)
・相談活動に影響が出そうな出来事を理解しておく
(プライベートでのトラブル、大きな環境変化、喪失体験など)
・セルフケアを充実させる
などが挙げられます。
仕事の自由度がない、突然のイベントが起こって仕事どころではない、など、自分のコントロール範囲外の要素が強く、それで疲弊してしまうようなときもあります。
そんなときは、あえて相談業務のような仕事から(一旦)遠ざかる判断や勇気も必要です。
その②:自分だけで抱え込まず、頼れる人に頼りましょう
信頼できる同僚や先輩、上司、先生、師匠などに相談しましょう。
あなたの周りの信頼できる人は、優秀なカウンセラーとなってくれます。
そして、あなたが悩んでいることを心配しています。
悩んだり迷ったりしたときは、頼りましょう。
一人職場が多い産業保健師の場合、なかなか頼れる人が身近にいない
ということもあるかもしれません。
同業者のコミュニティや仲間内との関係を大切にして、お互いの成長に貢献できるといいですね。
弊社においても、産業保健師のコミュニティサロン「Growth」があります。
あなたの成長や頼りどころ、仲間探しの場にもなるかもしれません。
興味のある方は是非こちらで、Growthの活動をみてみてください。
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あなたの仕事が楽しくありますように。
MEDIVA 産業保健チーム
- Category:メディヴァの健康経営支援