MEDIVA健康コラム

食べて動いて丈夫な体に 〜筋肉と骨のための食事〜

2015年01月29日(木)

寒い日が続き、外出に二の足をふむ季節になりました。
いつもは歩いて行っていた買い物に車を使ったり、休日の散歩がいつのまにか
遠のいたりと、身体を動かす機会が減っている方も多いのではないでしょうか。

そんな皆さんに、突然ですが、質問です。

「靴下をはくときに片足立ちではけますか?」

この質問は、『ロコモティブシンドローム』(通称『ロコモ』)かどうかをチェック
する7つの質問のうちの一つです。

『ロコモティブシンドローム』とは、『運動器症候群』のことで、筋肉や骨などの
身体を動かすのに必要な『運動器』のはたらきが低下し、歩行や日常生活を自由に
行えない状態をいいます。

ロコモが進行すると、介護が必要になるリスクが高くなるといわれています。
平成23年厚生労働省の国民生活基礎調査では、『要支援・要介護になった原因』の
第一位が、『運動器の障害』でした。

運動器のはたらきが低下する原因としては、加齢とともに筋肉量が減ることもあり
ますが、やせ過ぎにより骨や筋肉が弱くなったり、一方で肥満により腰や膝の関節
に大きな負担がかかり障害を起こしやすくなることも挙げられます。

また、車やエレベーターなどを使うことにより歩く量が減ることで活動量が低下
することも大きな一因として考えられます。

最近では、ウォーキングやランニングをされている方を多く見かけるようになり
ましたが、日頃から身体を動かすように心がけることは、ロコモを予防するために、
とても大事なことです。

また、筋肉や骨を強くするためには、『毎日の食事』も欠かせません。
運動をするだけでは、筋肉や骨をつくる材料が足りなくなってしまいます。
そこで、ロコモを予防する3つの食事のポイントをまとめました。

 1, 1日3食、とくに朝食が大事です

 食事の回数が減ると、食事の全体量が減ってしまい、身体に必要な栄養素が
不足しがちです。
とくに、朝はエネルギーが不足している状態のため、何も食べないと、
エネルギー源として筋肉に含まれるたんぱく質が使われるため、筋肉量が減る
原因となります。

2, 主食、主菜、副菜をそろえてバランスのいい食事を

主食(炭水化物を多く含むご飯・パン・麺類)、主菜(たんぱく質を多く含む
魚・肉・卵・豆腐などの大豆製品)、副菜(ビタミンやミネラルを多く含む
野菜・海藻)をそろえて食べると身体に必要な栄養素をバランスよく
摂ることができます。

よく筋肉量を増やすためには、たんぱく質を多く摂ればいいと思われがちですが、
たんぱく質を効率よく摂るためには、ビタミンB群のような他の栄養素のはたらき
も大切ですし、同じたんぱく質の中でも、はたらきや吸収率は異なりますので、
‘肉だけ’‘乳製品だけ’ ということではなく、いろいろな食品を組み合わせて
食べることがおすすめです。

3, 骨を強くする栄養素を上手に摂りましょう
 
骨をつくるのに最も重要な栄養素はカルシウムです。
1日に必要なカルシウムの量は、成人で約700�とされていますが、
日本人は不足しがちといわれています。カルシウムは牛乳などの乳製品の他、小魚、
大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、に多く含まれています。

1日に必要な量を摂るには、牛乳コップ1杯、豆腐とわかめのみそ汁、
小松菜とごまのお浸し、ひじきと大豆の煮もの、のように乳製品・小魚・大豆製品
は1日1〜2個、緑黄色野菜・海草類は1日2皿を目安に摂ることがおすすめです。

例えば、汁物や鍋の味付けとして牛乳を使ったり、野菜サラダにチーズや小魚やひじきを
加えたり、といつもの料理に加えていただけると手軽に増やすことができます。

一方で、リン(加工食品やレトルト食品に食品添加物として使用されているもの)、
アルコール、カフェイン、食塩はカルシウムの吸収を妨げたり、
排出を促してしまうといわれていますので、摂り過ぎには注意しましょう。

また、カルシウムだけでなく、たんぱく質や、魚やきのこに多く含まれるビタミンD、
納豆や青菜に多く含まれるビタミンKも骨をつくる大切な材料となります。

骨をつくる材料が不足すると、骨が弱くなって骨折しやすくなりますので、
日頃からこまめに補給することが大切です。

しっかり食べて、しっかり動くことが、丈夫な筋肉と骨をつくります。
『元気よくいつまでも自分で歩く』ことができるように、食事と運動を組み合わせて、
今から『ロコモ予防』を始めてみませんか?

(管理栄養士/健康運動指導士 吉澤 ちえみ)