子どもの肥満を防ぐには
2014年12月29日(月)
年末年始は家族でのんびり過ごす時間が長くなります。
この時期は、パーティー料理やケーキ、おせち料理やお餅など美味しいものを食べる機会も多くなりますので、体重が増えやすい時期でもあります。
家族で多くの時間を過ごせるこの機会に子どもの肥満予防について考えてみませんか?
『子どもは親の背中を見て育つ』と言われるように、子どものうちに太りにくい健康的な食行動を身につけさせるためには、見本となる大人の食行動を見直すことも大切です。
まず、肥満を予防するためには“食べ過ぎないこと”(エネルギーを取りすぎないこと)が大切です。
まずはそのチェックポイントを3つご紹介します。
㈰『早食い』『ながら食い』になっていませんか?
みなさんは、お食事にどのくらいの時間をかけて食べていますか?
『早食い』になり噛む回数が減ってしまうと、消化が十分にされないだけでなく、大食いにもつながってしまいます。
お食事をする際に20〜30分かけてよく噛んで食べると、脳の食欲を調節している中枢(満腹中枢)が、胃に食べ物が到達し吸収が始まったことを感知して、食欲を低下させ満腹で食事を終わらせる役を割を果たしてくれます。
しかし、『早食い』してしまうと、その機能が働く前にたくさん食べ過ぎてしまいます。まずは、時間を確認してから食べ始めると食べるスピードも意識できるようになります。
その他の方法としては、食材を大きめに切った根菜類(ごぼうやレンコン、ニンジン)や、スティック状に切ったキュウリなどの生野菜を取り入れた料理にすると、自然と噛む回数が増えます。
他にも、箸置きを使い、箸を置く時間を作れば時間をかけて、ゆっくり食べることも一つの方法です。
また、『テレビを観ながら』、『携帯をいじりながら』など、何かをしながらご飯を食べることも食事の味を十分に味わえないだけではなく、 自分がどれだけだけ食べたのかもわからず、満腹中枢が働きにくくなってしまい食べ過ぎにつながってしまいます。
家族そろってお食事ができる時は、楽しく会話をしながら、一緒に食事を十分に味わって、食べ過ぎを防ぐようにしましょう。
㈪水分補給は甘くないものを!
最近では、ドリンクバーなどが当たり前のようにあり、たくさんの種類のジュースなどを飲むことできるファミリーレストランも増えてきました。
ここで注意して頂きたいのは、液体であっても甘い飲み物はエネルギーがあるということです。
のどが渇いているからといって、水と同じように飲んでしまうと糖質が多くなってしまい、肥満の原因にもなります。
フルーツジュースやスポーツドリンクはビタミンやミネラルが入っており、体に良さそうなイメージもありますが、同様に糖質を多く含んでいるので飲み過ぎには注意が必要です。
水分補給をする際には水やお茶などにして、甘い飲み物を飲む場合は1日1杯程度で、できるだけ活動量の多い日中に飲むことをお勧めします。
㈫上手に間食をしましょう!
子どもの間食は、大人の間食とは意味合いが違います。
子どもは成長が盛んなため大人に比べて体重あたりのエネルギーや栄養素が多く必要です。
しかし、消化吸収する能力が未発達なため一度に多く食べることができないため、それを補う必要があります。
ここで気を付けたいのは間食の栄養バランスです。
子どもの間食はエネルギーや栄養素を補うためのものなので、大人よりも栄養バランスも考えて食べる必要があります。
間食でよくありがちなのは、糖質や脂質に偏ったものです。
これらは肥満や虫歯の原因になるだけでなく糖尿病やコレステロール値異常の原因にもなります。
糖質と脂質の両方を多く含むケーキやドーナツ、アイスクリーム、菓子パン、チョコレート、かりんとうなどは食べ過ぎに注意が必要です。
間食の理想的な食べ方は3回の食事で摂れない栄養素を中心にバランスを考えて選ぶことです。
洋食や中華のおかずの日は、アブラを多く含むので果物やおせんべいのような和のおやつ、あっさりした和食のときには、乳脂肪など多く含まれるおやつの 組み合わせだと脂質の摂り過ぎは防げます。
また、子どもは水分を多く必要としますので『おやつ』+『甘くない飲み物(お茶や牛乳など)』 で組み合わせることがお勧めです。
例えば、『焼き芋とお茶』、『旬の果物と牛乳』『ヨーグルトと果物』などであれば、糖質や脂質に偏らずに水分補給もしながら食べることができます。
ただ、間食の量が多くなりすぎてしまうと食事が食べられなくなったり、エネルギー過多になってしまいます。
1日のおやつの量は、
・小学校の低学年の場合は100kcal前後
・中学年の場合は150kcal前後、
・高学年から中学生、大人の方は200kcal前後を目安にしましょう。
ただし、水泳や部活動などたくさん体を動かす場合は例外です。
購入したおやつは、包装にある栄養表示を見る習慣をつけるとそれを比較することで、 食品を選択する力もついてきます。
子どもの頃に適切な食習慣を身につけることが一生の健康につながりますが、子どもだけではうまく調整することが難しいものです。
家族みんなで、よい食習慣を身につけていきましょう。
(管理栄養士 冨加見 恵)
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