朝ごはん、パンとごはんと、どっちがいいの?
2014年11月28日(金)
「朝ごはんはパンとごはんとどちらがよいか?」
受験を控えているお子様や、仕事が忙しく少し体重が増え気味のご主人のために、また、ご自身の健康を考えて、こういった質問は珍しいことではありません。
3年前には、家庭でのパンの購入代金が米の購入代金を初めて追い越すほどになりました。
一方で、コンビニのおにぎりやお弁当の購入金額は増えています。
ご飯は食べたいけれど炊くのが面倒だし、おかずをそろえるのも時間がかかるし・・・といった状況なのかもしれませんね。
最近は美味しいパンがたくさんありますし、種類も迷うほどに豊富になっていてどれも食欲をそそります。
白い小麦粉だけで作られたふわふわのパン、ビタミン類をはじめ、ミネラル・タンパク質・食物繊維などの豊富な茶色いどっしりとした全粒粉のパン、お菓子のようにおしゃれなデニッシュ、バターを織り込んで焼き上げたクロワッサン。
その他、サンドイッチや人気のウインナーロールやカレーパン、コーンマヨネーズなどのお惣菜パンはそれだけで簡単にすましてしまうこともよくあることです。
手軽ですぐに食べることができるのはとても便利ですが、思った以上に脂肪のとり過ぎにつながりやすいので注意が必要です。
たとえば、『パンと牛乳』、『ごはんとお味噌汁』を比べてみますと、6枚切りの食パン1枚(60g)には何も塗らなくても作る過程でバターや生クリームが入っているため、約2.6gの脂肪が含まれています。
牛乳コップ1杯(200ml)の脂肪の量は7.6gですので、あわせて食べると、それだけで10.2gの脂肪を摂ることになります。
これに加えて、バターやマーガリン、ウインナー、卵なども添えますと、更に脂肪の量は増えることになりますし、お惣菜パンやクロワッサンなどは1個で食パン1枚の約6倍の15gを超えてしまうことも珍しくありません。
成人の1日の脂肪の目標量はおよそ40gですので、パンの朝食にすると1日の1/3〜1/2の量の脂肪を簡単に摂ってしまうことになります。
一方、ごはんの脂肪の量はというと、ごはん1膳には0.5g、豆腐の味噌汁には1.5g含まれていますので両方合わせても2.0gしかありません。
特に、昼や夕食がお肉料理や外食が多い方は、必要以上に脂肪をとりがちですから、メニュー選びには気をつけたいところです。
また、ごはんとパンの大きな違いは、ごはんの方がゆっくりと消化・吸収されるということです。
つまり、腹持ちが良く、脳にとっても安定したエネルギーの供給源になりますのでお仕事や勉強において、集中力も継続しやすくなります。
でも朝の忙しい時におかずをそろえることを考えると、やっぱり迷ってしまいますが、それほど難しく考える必要はありません。
たとえば、ごはんと納豆、ごはんと豆腐のお味噌汁など、ご飯と大豆製品を組み合わせて食べるだけで理想的な栄養バランスの朝ごはんになります。
皮膚や筋肉、血液や細胞を作っているたんぱく質は20種類のアミノ酸からできています。
そのうち9種類は人間の体内で作ることができない『必須アミノ酸』と呼ばれているもので、必ず食べ物から摂る必要があります。
『必須アミノ酸』がすべて揃うことによって、より効率的に体を作っていくことが可能になります。
ごはんの中に含まれている『必須アミノ酸』のうち、唯一不足しているのがリジンですが、その働きはおもに組織を修復したり、成長を促進したりするといわれています。
大豆にはリジンが豊富に含まれていますので一緒に食べることによってお互い足りないところを補うことができるのです。
お味噌汁には大豆製品の豆腐や厚揚げはもちろん、大根、ごぼう、人参などの根菜類、小松菜、ほうれん草、キャベツ、もやし、サツマイモ、玉ねぎ、ワカメ、こんにゃく、しいたけなどを入れて、具沢山にすると、ビタミン、ミネラル、食物繊維も摂れてさらに体の調子を整える栄養がプラスされます。
「朝ごはん、ごはんとパンと、どっちがいいの?」
この答えは、今回ご紹介した以外にも理由はたくさんありますが、忙しい朝でもお勧めしたいのは、やっぱり体にやさしく栄養バランスのとれる『ごはん』です。
(管理栄養士 田中 佳代子)
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