「第5回特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」が開催されました
2016年04月07日(木)
先日4月5日に厚労省にて行われました「第5回特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」を傍聴してまいりました。
2008年度から始まった特定健診・特定保健指導は、現在第二期の4年目に入っておりますが、2018年度からの第三期に向け、本検討会で特定健診や特定保健指導の見直しが検討されています。
簡単に、傍聴した内容をご報告させていただきます。
当日の資料は下記にありますので、ご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000120905.html
【議題】
1. 健診・検診の考え方と尿腎機能検査の位置づけについて
2. 特定健康診査の項目について(腹囲・その他)
【内容】
1. 上記議題1については、下記のような見解が示されました。
・尿腎機能検査の項目は「血清クレアチニン」とすべき
・尿腎機能検査は、これまでの「基本的な項目」から「詳細な健診の項目」へと位置づけを整理(資料2 p.4の図を参照)
・健診は主に将来の疾患のリスクを確認する検査群、検診は主に現在の疾患自体を確認する検査群(資料2 p.2の図を参照)
2. 今回の検討会では、おもに議題2の腹囲項目について、以下の論点を中心に検討がされました。
〈論点〉(資料4 p.2)
・保健指導対象者の選定・階層化基準において、腹囲を第一基準とすべきか
・腹囲の基準値は、男性85cm以上、女性90cm以上とすべきか
・特定保健指導の対象となっていない非肥満のリスク保因者への対応の必要性についてどう考えるか
門脇孝構成員による研究、また永井良三構成員による研究結果によるエビデンスが示され、以下のような見解が見られました。
(1) 現行の腹囲測定、腹囲基準値の有用性の確認
・現行の腹囲基準値で、動機づけ支援・積極的支援レベル層は情報提供レベルでリスク0の層と比べると心血管疾患発祥のリスクが高い。(そのため有用)
・現行の腹囲基準値は血圧・脂質・血糖のリスクファクター数に着目すると適切
・現行の腹囲基準値以下で内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上に該当する層でリスク保持者も存在している。今後さらなる検討が望ましい。
(2) 非肥満のリスク保因者について、なんらかの対策が必要
・情報提供レベルのうち、非肥満でリスクがある層(やせメタボ・隠れメタボ)は非肥満でリスク0の層と比べると心血管疾患発祥のリスクが上昇(資料5 p.5を参照)。(なんらかの指導が必要)
・腹部肥満(内臓脂肪蓄積型)かそうでないかで、保健指導の介入の仕方が変わる。腹部肥満であれば、まず内臓脂肪を減少させることがリスク減少にもつなが り、介入効果も実証されている。(2)の腹部肥満でない場合については、介入方法や効果の実態等をまずは検討していく必要がある(資料5 p.5を参照)。
・同時に、改めて特定健診は虚血心疾患等を失くすことが目的であり、メタボを見つけることが目的ではないことが確認された。
ほか、さまざまな観点からの意見が出されていました。個人的には以下が印象に残っています。
・国際基準では腹囲を必須基準とはしていないが(国によっては、腹囲を必須とすると大多数の者が該当してしまう)、日本で腹囲基準を必須としている点は目的や実態とも合っており、誇れる点ではないか。
検討会では、上記の(1)(2)について確認がされましたが、はじめに挙げた3つの論点については今回はまとまらず、まだ検討が続けられそうです。
今後も引き続き、検討会の様子をご報告させて頂きたいと思います。